市川團子 “歌舞伎界のDynamite”目指す 憧れBTSのVの表現力絶賛「もはや戦士レベル」刺激

[ 2025年10月5日 05:00 ]

気球がデザインされたBTSのアルバムとVのソロアルバムを手に笑顔を見せる市川團子(撮影・河野 光希)
Photo By スポニチ

 【夢中論】歌舞伎俳優の市川團子(21)は世界的に人気の韓国グループ「BTS」で活躍するV(29)の大ファンだ。洗練されたダンスパフォーマンスや豊かな表情に学ぶことも多く「いつか共演したい」と夢見ている。音楽を聴くのは一日に一曲だけ。全ての感覚をBTSの一曲に向け、勇気をもらって歌舞伎の舞台に立っている。(西村 綾乃)

 歌舞伎のビデオを繰り返し見るように、BTSのステージ映像を細部まで見て分析する。何かをしながらではなく、一日に一曲を集中して聴くと決めている。8月はほぼ毎日、BTSのメンバーが故郷の誇りを歌った「Ma City」を聴いていた。

 「特にライブバージョンが好き。疾走感があるので、歌舞伎座に向かう途中、全集中して聴き“やるぞ!”と気合を入れました」

 メンバーの中でも「テテ」の愛称で知られるVの大ファン。ヒット曲「DNA」のミュージックビデオで、キュートな笑顔から一瞬でクールな真顔へと変えるのを見て引き込まれた。「スーパー歌舞伎」など革新的なエンターテインメントを生んだ祖父の市川猿翁さん(享年83)以外で「初めて憧れたヒーロー」だ。

 「テテが『DNA』のダンスプラクティス(練習動画)で着ている(韓国ブランドの)LA MER MA MAISONの黒いシャツを誕生日に母に買ってもらいました」とうれしそう。友人とは「DNA」や「Dynamite」などBTSのヒット曲のダンスを一緒に踊って覚えたりもした。

 ファンとして、同じ演者として、Vの表情やファッション、ヘアスタイルなどを研究。指先まで神経が行き届く細やかな動きは「舞台に立った瞬間、死ぬほど稽古をしてきたことが分かる。もはや戦士レベル」と、独特の言い回しで絶賛する。中でも特に目を引くのが手だ。「テテは手を動かす時にオーラが出る。それは空間を支配する力。これは歌舞伎にもつながること」と評する。

 Vは“恩人”でもある。猿翁さんが帰らぬ人となった2023年9月、沈む気持ちの中で聴いたのがVのソロアルバム「Layover」だった。「毎日、舞台が終わったら一人で聴いていました。優しい歌声がメンタルを支えてくれた。テテに会ったらありがとうと伝えたい」。8月には歌舞伎座公演後の短い夏休みをVが暮らす韓国で家族と過ごし英気を養った。

 現在上演中の歌舞伎座公演の後、今月23日からは「立川立飛歌舞伎特別公演」(立川ステージガーデン)に出演。「新説 小栗判官」で小栗判官と浪七を演じる。猿翁さんの当たり役に「身に余る大役」と気を引き締めている。

 歌舞伎界の革命児と称された猿翁さんからは「夢見る力が大切」と教わった。一方、物語性があるミュージックビデオやアートの制作など、新たな表現を続けるBTSのチャレンジ精神に魅力を感じている。「祖父やBTSのように、僕も誰も見たことがない作品を作ってみたい」と目を輝かせた。

 8月の歌舞伎座公演で、ロビーに展示したうちわに記したのは「躍進」の2文字。「祖父の背中を追いかけ、近づきたい」という思いの表れだ。役に真摯(しんし)に向き合い、ひたむきな姿が観客の心を捉える。姿を見せるだけで見る人を高揚させるスター性を磨いて大きく飛躍していく。

 ≪染團コンビで「押隈」≫歌舞伎の世界を描いた大ヒット中の映画「国宝」に登場する2人の青年に、團子と市川染五郎(20)の姿を重ねるファンも多い。7月には染團コンビで3年ぶりに舞踊を披露。「蝶の道行」の公演初日、「大小、たくさんの蝶が飛んでいるのを見たんです。動きを細部まで見よう。一瞬たりとも見逃さない!」と追跡。繊細な羽の動きは、奇跡的な出合いがヒントになった。最終公演後、染五郎と隈(くま)取りを手拭いに取る「押隈(おしぐま)」を4枚作り、2枚ずつ分けた。「周辺に舞台の大道具や草木の絵を描こうと思っています。いつかまたやりたい」と望んだ。

 ≪「義経千本桜」出演「愛らしい狐忠信を」≫歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」で上演中の「義経千本桜」に出演している。第1部「鳥居前」と第3部「吉野山」「川連法眼館」で佐藤忠信と忠信に化けていた狐(きつね)役。「四の切」の通称で親しまれる「川連法眼館」では、欄間抜けや幕切れの宙乗りなどスペクタクルとケレンが魅力の澤瀉屋(おもだかや)型で初役の狐忠信に挑む。「祖父がライフワークとしていた役。親への情を持った愛らしい狐忠信を表現したい」と意気込んだ。尾上右近(33)とのダブルキャストで、團子はAプロに出演。21日まで。

 ◇市川 團子(いちかわ・だんこ)2004年(平16)1月16日生まれ、東京都出身の21歳。12年6月に「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」のワカタケルで五代目市川團子を名乗り初舞台。19歳の時、市川猿之助の代役で、中1日の準備期間で主演した「不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―」は大きな話題を集めた。父は市川中車(香川照之)。

この記事のフォト

「市川團子」特集記事

「美脚」特集記事

芸能の2025年10月5日のニュース