「虎に翼」劇伴「まさか」寅子口癖「はて?」90回!使用頻度増のワケ 脚本家語る誕生秘話&ベストはて?

[ 2024年9月15日 12:00 ]

虎に翼」脚本・吉田恵里香氏インタビュー(2)

連続テレビ小説「虎に翼」第49話。佐田寅子(伊藤沙莉)は穂高重親(小林薫・手前)の“謝罪”に対し…(C)NHK
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 女優の伊藤沙莉(30)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「虎に翼」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)も残り2週間。オリジナル脚本を手掛けた吉田恵里香氏(36)が約2年にわたる執筆・作劇を振り返った。現代に通じる社会問題も描く今作を象徴する台詞が、主人公・寅子の口癖「はて?」。最新第120回(9月13日)までに寅子が発した“疑問符”は実に約90回を数えた。年末の「新語・流行語大賞」ノミネートも期待される「はて?」に込めた思いを吉田氏に聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田氏が脚本を担当した朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪(佐田)寅子(ともこ)の人生を紡ぐ。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となった。

 「はて?」第1号は、初回(4月1日)から飛び出した。

 お見合い前夜、寅子は大阪・梅丸少女歌劇団入りを口実に家出を試みるが、失敗。「結婚した自分が、想像つかなくて。想像つかないどころか、全く胸が躍らない、というか…」と本音を吐露した。はる(石田ゆり子)は「くだらない。そんなフワフワした理由のために、家族に迷惑を掛けて。女学校まで行かせたのに、情けない」。寅子は「はて?」とつぶやき「女学校は勉学に励む場所でしょ。そこで得た知識を卒業後に活かしたいと思うのは、普通のことでは?」と続けた。

 「はて?」のアイデアや着想について、吉田氏は「寅子が“何かおかしいな”と思ったり、何か疑問に感じた時に、そのことを分かりやすく提示できる決め台詞が欲しくて考えました。“うーん”と考え込む、みたいなことも考えましたけれど、それは寅子らしくないな、と。この作品のテーマの一つは“声を上げること”“思ったことを口に出して対話していくこと”なので、相手を否定・攻撃したり、そのワードで会話が終わってしまうようなものにはしたくなかったので、対話のキャッチボールの言葉として『はて?』が浮かんだ時には、それほど悩まず“これだ”と自分の中でしっくりくるものがありました」と経緯や狙いを説明。「視聴者の皆さんにも冗談交じりでも口にしていただいて“あ、この人は今、何か思ったんだな”と伝わる、ちょっとしたフレーズになれば素敵だなと思いました」と明かした。

 「はて?」の劇伴も誕生し「オリジナル・サウンドトラック Vol.1」には、そのままの曲名「はて?」で収録(4曲目)。「『スンッ』(7曲目)もそうですけど、まさか曲になるとは思っていなかったので、ビックリでした。台詞から劇伴が生まれることもなかなかないので、ありがたい経験をさせていただきました」と喜び。音楽の森優太氏に感謝した。

 以前からの自身の口癖?と尋ねると「いえいえ。私の口癖だったら、本打ち(台本打ち合わせ)の時とかにスタッフの方から“吉田さん、また『はて?』が出ています”とツッコまれていたんじゃないでしょうか」と笑った。

 当初、「はて?」の使用頻度は「もうちょっと少ない予定でしたけど、寅子の成長を考えた時に、物分かりのいい大人になっていくのは彼女らしくないなと、中盤で明確に思いました。寅子は寅子のままでいることに意味があるな、と。彼女を象徴するワードとして、そこからまた意識して使うようになりました」。約90回になった理由を語った。

 最も印象的なのは、第49回(6月6日)。民法改正審議会の休憩時間、穂高(小林薫)は寅子に家庭教師の仕事を持ち掛け「君をこの道に引きずり込み、不幸にしてしまったのは、この私だ。そのことで、ずっと責任を感じていてね」。寅子は「あの、待ってください。えっ、不幸?私が…。はて?はて?」――。4年ぶりの「はて?」復活。その場にいた桂場(松山ケンイチ)も思わずビクッと反応した。

 「寅子が弁護士を辞めてから封印していたんですけど、寅子が寅子に戻って再スタートを切るという意味で“復活のはて?”は心に深く残っています」

 =インタビュー(3)に続く=

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