「ちむどんどん」川口春奈の出産場面 「美しく、神々しかった」

[ 2022年6月2日 08:25 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」第39回で、女児を出産した良子(川口春奈)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】2日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第39回で、比嘉家の長女・良子(川口春奈)が女児を出産した。

 演出した中野亮平氏は「今週は、料理人を目指す暢子(黒島結菜)が新聞社で修業すること、歌子(上白石萌歌)がオーディションに挑戦すること、という二つの大きな流れがあります。自分が予期しない事態になっても、それには必ず何か意味があり、人生の豊かさにつながる。回り道には意味がある、ということを伝えたいと思いました。そして、暢子と歌子の二つの流れを、良子の出産で結実させようと考えました」と話す。

 良子は、東京の新聞社で修業中の暢子が幼なじみの記者・和彦(宮沢氷魚)のため必死に過去の記事を探す最中、オーディションで倒れた歌子が母・優子(仲間由紀恵)に励まされる最中に、出産の時を迎える。

 中野氏は「川口さんは『出産シーンは初めて』とおっしゃっていました。リアリティーを持たせるため、呼吸法、いきみ方などをひとつひとつ、指導の先生にうかがい、私の妻にも何度も話を聞きました。撮影現場では、母親である仲間さんに『ここをさすると楽になる』という話をしていただきました」と話す。

 良子は産みの苦しみの中で歌子に「怖い。歌って」と懇願。幼少期から親しんできた歌曲「椰子の実」を耳にしながら出産する。

 中野氏は「暢子と歌子の流れを結実させる重要な場面なので、長めに撮影しました。出産を見守る時、普通なら、はらはらした表情になると思いますが、この場面では、みんながだんだん笑顔になっていきます。産んでいる本人は大変だけれど、見つめている新垣のおばぁ(きゃんひとみ)が明るくて、表情が自然に柔らかくなっていく。優子も笑顔、歌っている歌子も笑顔になっていく。それが妙にリアルで、温かい感じになったので、とても気に入っています」と話す。

 女児を産み終えた良子は歌子に「抱いてあげて。歌子のおかげで頑張れた」と感謝の思いを伝える。

 演じる川口の表情が柔らかく温かい。

 中野氏は「産んで赤ちゃんを横に置いた時のお芝居は別次元でした。テストの時はマスクをして人形を置いて演じてもらっていましたが、実際に赤ちゃんが横にいると、母性あふれる表情になり、美しく、神々しかったです。赤ちゃんを抱いている時の表情はとても柔らかく、抱き方がぎこちないところも新米のママの感じが出て良かったです。スタジオを出る時には笑顔で『かわいかった』とおっしゃっていました」と話す。

 川口が初めて挑んだシーンは長く記憶に残りそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年6月2日のニュース