三浦瑠麗氏 ウィル・スミスのビンタ騒動に「こういう暴力がまかり通ってしまうっていうのは…」

[ 2022年3月29日 09:35 ]

三浦瑠麗氏
Photo By スポニチ

 国際政治学者の三浦瑠麗氏(41)が29日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。27日(日本時間28日)に行われた第94回アカデミー賞授賞式で、プレゼンターを務めたコメディアンのクリス・ロック(57)が俳優のウィル・スミス(53)とその妻のジェイダ・ピンケット・スミスを侮辱するスピーチをしたことを受け、ウィルがクリスの顔を平手打ちした件に言及した。

 クリスはスピーチ内で、ジェイダの髪形を侮辱した。米メディアによると、ジェイダは脱毛症に悩まされ、昨夏ごろから短髪にしている。ウィルはステージへ上がり、クリスの顔面に強烈な平手打ちをし、マイクを通さず放送禁止用語で応戦した。その後、主催団体のアカデミーは「いかなる暴力も許さない」とし「正式な調査を開始した」との声明を発表。クリスは米メディアに対し、被害届を提出しないことを明らかにした。

 三浦氏はウィルの行動には「明らかに(対処法は)それ(平手打ち)以外のやり方はあった」としたうえで「クリス・ロックは調子に乗ってるんですよ、『とにかく何でも許される』って。そもそもこういうことが起こると、『アカデミー賞の授賞式なんか、止めちまえ!』って思っちゃうわけですから。今の風潮は、アカデミー賞は調子に乗ってます」と私見を述べた。

 そのうえで「ウィル・スミスの行動を指して、カッコイイ!という声がもちろん出てくるでしょう。今回の『ドライブ・マイ・カー』のテーマもそうなんですけど、有害な男性性と訳される“Toxic masculinity”という考え方があって、何で妻が言われたのに夫が乗り出していって、俺の女を!ってパンチするんですかね?ここも、本来先進的な社会だったら論点として出てくる話。妻が抵抗できないか弱い存在であることを前提にして、俺の持ち物にケチ付けて、傷つけたな!っていうのは世の中の暴力の基礎にある考え方」と主張した。

 国際長編映画賞に輝いた「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)の内容にも触れ、「男性の主人公がどうやって自分の中の有害な男性性や自己愛を乗り越えて、他者に心を開いていくかっていう話でもある」とし、「こういう映画が受賞しておきながら、アカデミー賞の授賞式でこういう暴力がまかり通ってしまうっていうのはいいパパであるウィル・スミスさんは私も大好きですけど、もうちょっと批判的に見なきゃいけないのもある」と指摘した。

 また「ウィル・スミスさんが白人男性だったら、この場で殴ったらまた別の問題が生じてしまう。誰が一番権力を持っているか、誰が弱者と認定されているかのよって、いろいろなものがひっくり返る。もう少し、良い、悪いというよりも分析的にこの事象は見てほしいなと思います」と見解を示した。

続きを表示

2022年3月29日のニュース