和合由依さんに広告業界熱視線、パラ開会式 車いすで「片翼の小さな飛行機」主人公熱演

[ 2021年8月28日 05:30 ]

東京パラリンピック開会式で「片翼の小さな飛行機」を演じる和合由依さん(撮影・木村揚輔)
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 24日に開かれた東京パラリンピックの開会式で、「片翼の小さな飛行機」の演目で物語の主人公を演じた車いすの少女に広告業界が注目している。

 国内外で評価が高かったセレモニー。前半部分を生中継したNHKの平均世帯視聴率は、関東地区で23・8%(ビデオリサーチ調べ)と高い数字を記録したが、その式典のハイライトが「片翼の小さな飛行機」だった。

 1つしかない翼で飛ぶ勇気を持てない主人公が、周囲に勇気づけられて大空へと羽ばたいていくストーリー。車いすに乗って登場したのは和合(わごう)由依さん(13)。表情と全身をフルに使って主人公の感情を表現した。先天性の羊膜索症候群、関節拘縮症による上肢下肢の機能障がいがあり、左腕は自由に動かせないが、自身を片翼の飛行機に重ねて堂々と演じ切った。

 世界中から称賛を受けた和合さんを、広告代理店の関係者は「国民に感動を与えた存在」として注目。「近年の広告のトレンドのひとつが多様性。“全ての人がターゲット”というメッセージを打ち出したい企業も多く、イメージに求める人物像に合致する」という。全国的に知名度のある大企業や公共機関、多様性を世界に発信したいグローバル企業、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業などの広告起用を候補に挙げた。

 和合さんは都内の中学2年生。5000人が応募したオーディションでは、楽器演奏や絵画、モノマネを披露した。演技経験は全くないが、開会式の演出を担当したウォーリー木下氏は「愛らしい表情や強いまなざしで、審査員の満場一致で大役を任せることを決めた」と明かしている。

 中学では生徒会役員や応援団を務め、吹奏楽やミュージカル観賞が大好きな女の子。別の広告関係者も「ハンディキャップを持ちながらも、明るく爽やかな表情や前向きなキャラクターで元気を与えてくれる存在」と指摘。既に企画案も出始めているという。小さな飛行機が飛ぶ空はまだまだ広がっていきそうだ。

 ▽パラリンピック開会式 はるな愛(49)ら100人のクルーがカウントダウンをして式典がスタート。「WE HAVE WINGS」をコンセプトに、ピッチ上に“パラ・エアポート”を描いた。会場はプロジェクションマッピングや色鮮やかな花火などで彩られ、俳優の滝川英治(42)らも参加。後半にはギタリストの布袋寅泰(59)が光るデコトラに乗って登場。米映画「キル・ビル」のテーマソングなどを演奏し盛り上げた。演出はウォーリー木下氏(49)が務めた。

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