日本喜劇の大屋号「曽我廼家」39年ぶりの新継承者決定! 松竹新喜劇のホープ3人

[ 2021年8月26日 05:30 ]

喜劇界の名屋号・曽我廼家を新たに継承する(左)から竹本真之、植栗芳樹、桑野藍香
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 日本で「喜劇」を生み出した名門屋号「曽我廼家(そがのや)」を名乗る喜劇役者が1982年(昭57)以来、39年ぶりに新たに誕生することが25日、分かった。近く、正式に発表される。

 松竹新喜劇のホープ、植栗芳樹(39)が曽我廼家一蝶、竹本真之(35)は曽我廼家桃太郎、ヒロイン女優・桑野藍香(29)が曽我廼家いろはを名乗り11月6日、大阪松竹座で開幕する「松竹新喜劇 錦秋公演」(21日まで)でお披露目する。

 「日本喜劇の祖」と言われる曽我廼家五郎・十郎が日本で初めて「喜劇」と銘打ち、大阪・道頓堀で「曽我廼家兄弟劇」を旗揚げしたのは1904年(明37)。その流れをくみ、さまざまな変遷を経て「松竹新喜劇」が誕生した。

 その創設メンバーで女優・浪花千栄子を描き、5月まで放送されたNHK連続テレビ小説「おちょやん」では、板尾創路(58)が演じた須賀廼家万太郎は五郎がモデル。五郎と袂(たもと)を分かった十郎の弟子・曽我廼家十吾をモデルとしたのが、星田英利(50)の須賀廼家千之助だった。今回、曽我廼家を名乗る植栗ら3人も「おちょやん」には端役であるが出演した。

 劇団創設以来、その後も曽我廼家文童(75)らが名を受け継ぎ、現在も曽我廼家玉太呂(66)ら3人が在籍するなど、新喜劇にとっては大事な屋号。今回はこの3人が継承して以来、39年ぶりの“襲名”となり、松竹新喜劇の歴史を紡ぐ新たな1ページとなりそうだ。お披露目の「錦秋公演」は名作「お祭り提灯」と「おちょやん」でも劇中劇として使われた「お家はんと直どん」の2本立て。

 ◇植栗 芳樹(うえくり・よしき) 1981年(昭56)10月26日生まれ、大阪府出身の39歳。子役でさまざまな舞台を経験し2007年入団。

 ◇竹本 真之(たけもと・まさゆき) 1985年(昭60)10月8日生まれ、岡山県出身の35歳。渋谷天外の付き人を経て2017年入団。

 ◇桑野 藍香(くわの・あいか) 1991年(平3)12月2日生まれ、大阪府出身の29歳。劇団女優・川奈美弥生の姪。宝塚歌劇を目指すも夢破れ13年入団。

 ◆曽我廼家(そがのや)とは
 日本の喜劇の始まりは明治時代後半と言われ、二代目渋谷天外の著書「わが喜劇」によると明治37年2月、大阪・道頓堀の浪花座で旗揚げした「曽我廼家兄弟一座」に始まるとされ、それ以前の即興的なお笑い「俄(にわか)」の流れが変わった。曽我廼家はその後、脈々と受け継がれ昭和になっても五郎八(ごろはち)さん、明蝶(めいちょう)さんらがいる。

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