クイーン旋風拡大 興収100億円見えた!映画「ボヘミアン・ラプソディ」動員右肩上がり

[ 2018年12月8日 05:30 ]

映画「ボヘミアン・ラプソディ」のワンシーン
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 伝説の英ロックバンド「クイーン」の軌跡をボーカルの故フレディ・マーキュリーさん(享年45)を中心に描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットを続けている。公開第1週から、観客動員、興行収入ともに右肩上がりという異例の状態。業界内には「興収100億円が見えた」との声も上がり始めた。6日発表された米映画賞「第76回ゴールデン・グローブ賞」でも作品賞候補に選ばれた。賞レースでも台風の目になりそうだ。

 1985年7月13日、英ウェンブリー・スタジアムを埋めた7万5000人の観客を前に、フレディさんはピアノの弾き語りで名曲「ボヘミアン・ラプソディ」を歌い始める。「レディオ・ガガ」「伝説のチャンピオン」――映画のクライマックス、21分間にわたり続くパフォーマンス。映画館では歌を口ずさんだり、涙を流す観客もいる。

 「ボヘミアン…」は6日現在の観客動員が276万2845人で、興収は37億6508万2380円に達した。通常映画は公開第1週をピークに徐々に右肩下がりとなるが、この作品は第4週の興収が第1週の140%という異例の事態。当初、配給の20世紀フォックスでは興収を20億〜30億円と予想。それが若い人が集まり始め、満席となる映画館が続出。劇場関係者は「100億円が見えてきた」と話している。

 20世紀フォックスのマーケティング本部長・星野有香さん(50)は「若い人はラスト21分の音楽に圧倒されたのではないでしょうか。それをSNSに書き込み、口コミで広がっていったのだと思います」と分析する。

 クイーンをリアルタイムで聴いていた両親と息子、娘が一緒に観賞しているのも特徴。洋画関係者は「フレディの同性愛を思わせるシーンもあるのですが、ファミリームービーとなっていることが大ヒットの要因」と話す。

 これから映画界は年末年始の書き入れ時に突入。洋画関係者は「この勢いなら興収100億は夢ではない。この映画、平成最後の“伝説のチャンピオン”になるのではないか」と期待している。

 ≪親日家フレディさん、古美術買い集め…日本に最初に紹介・東郷かおる子さんが語る思い出≫クイーンを日本に最初に紹介した音楽評論家の東郷かおる子さんは、若者が劇場に押しかけていることについて「『ウィー・ウィル・ロック・ユー』は今でもスポーツ番組でかかり、甲子園のブラスバンドでも演奏されています。クイーンは知らなくても曲は知っていた。観賞した親の話を聞いて(劇場に)行っているのでしょう」と話した。フレディさんが日本好きだったことには「本人に東洋系の血が入っていることもあって(日本の)古美術に興味を持っていた。来日した時には掛け軸や壺(つぼ)を買っていました」と明かした。

 ◇映画「ボヘミアン・ラプソディ」 「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーさんの半生と、クイーンの歩みを描いた伝記ドラマ。ラストシーンで、エイズで死期が近づくフレディさんが命を懸けて7万5000人の観客を前に熱唱する「ライブ・エイド」のシーンが話題。映画のタイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」はロックとオペラを融合させ、6分という常識破りの長い曲。同曲の誕生秘話も描かれる。

 ◇クイーン ボーカルのフレディさん、ギターのブライアン・メイ(71)、ドラムのロジャー・テイラー(69)、ベースのジョン・ディーコン(67)で1971年に結成し、73年にアルバム「戦慄の王女」でデビュー。74年のシングル「キラー・クイーン」が全英2位を記録し人気バンドに。以降、フレディさんが亡くなるまでメンバー変更することなく第一線で活動。計15枚のオリジナル・アルバムを残し、トータルセールスは全世界2億枚以上といわれる。

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