群雄割拠

[ 2018年9月14日 08:00 ]

8王者がずらり。限定400枚です
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 【我満晴朗のこう見えても新人類】四段だった頃の藤井聡太・現七段に王将戦についての印象を尋ねたことがある。「とにかく挑戦者決定リーグ戦に入るのが厳しいですね。(名人挑戦者を決める)順位戦A級(原則10人)よりも門戸が狭いので」。即答だった。

 9月7日、その王将戦の第68期リーグ戦メンバー7人が出そろった。昨期、久保利明王将に挑んだ豊島将之棋聖をはじめ、渡辺明棋王、佐藤天彦名人、中村太地王座と現役タイトルホルダーが4人もいる豪華な構成。4戴冠者が名を連ねるのは第37期と第40期に並ぶ最多記録となる。

 ちなみに第37期(1987)の挑決リーグ参加者は…(以降、段位・肩書は当時)。

 中原誠名人、塚田泰明王座、米長邦雄九段、森?二・九段、高橋道雄十段(注)、島朗六段、南芳一棋聖

 (注)十段は竜王戦の前身タイトル

 そして第40期(90年)のラインアップはというと…。

 南棋王、谷川浩司竜王、中原名人、中村修七段、屋敷伸之棋聖、淡路仁茂八段、森下卓六段

 結果はどうか。第37期はリーグ初参加、24歳の南が6戦全勝のパンチアウトで挑戦者に名乗りをあげ、7番勝負ではフルセットの末、中村修王将を下している。第40期は南、屋敷、森下の3者が4勝2敗で並び、プレーオフで南が挑戦者に。勢いに乗った南は米長王将との7番勝負も4勝2敗で制し、タイトルを奪還した。

 つまり過去2回とも挑戦者が頂点に達したことになる。28年を経た今年も先例が繰り返されるのだろうか。待ち受ける久保王将も気が気ではないはずだ。

 それにしても永世七冠の羽生善治竜王でさえ2期連続して挑決リーグ入りを逃している王将戦。現存の8タイトルを8棋士で分け合っている戦国時代だけに、王将戦における28年ぶりの事象はある意味当然なのかもしれない。

 手元に9月13日に日本将棋連盟から発売された限定品のクリアファイル「Shogi 8TITLE Holder」(税込み540円)がある=写真。棋界を代表する8者の「どや顔」は迫力たっぷりだ。このうち4人が挑決リーグで相まみえるのだから発せられる熱量もすさまじいことになるだろう。

 あっ、残りの3棋士(郷田真隆九段、糸谷哲郎八段、広瀬章人八段)の存在も忘れてはならないぞ。現在無冠とはいえ全員がタイトル経験者だ。なんとぜいたくなメンバー構成。藤井七段がこの「7枠」に食い込んでくるのは、果たしていつの日だろうか。(専門委員)

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2018年9月14日のニュース