「バイプレイヤーズ」寺島進が貫く“役者の仁義”「選ばれたからには嫉妬させなきゃ」

[ 2017年2月10日 08:00 ]

「バイプレイヤーズ」名脇役インタビュー(4)寺島進(上)

テレビ東京「バイプレイヤーズ」に出演する寺島進(C)「バイプレイヤーズ」製作委員会
Photo By 提供写真

 俳優の寺島進(53)が、日本映画界に不可欠な名脇役6人による夢の共演で話題を呼ぶテレビ東京「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」(金曜深夜0・12)の一角を担っている。「選ばれたからには(ほかの俳優を)嫉妬させなきゃいけない」と“役者の仁義”を貫く寺島の人情味あふれる“役者道”とは――。

 寺島とともに、遠藤憲一(55)大杉漣(65)田口トモロヲ(59)松重豊(54)光石研(55)=アイウエオ順=の6人が“主演”。全員が本人役に扮し、共同生活を送るというストーリーの異色作。中国の動画配信サイトから映画「七人の侍」リメークのオファーを受けた6人は絆を深めるため、シェアハウスで3カ月、一緒に暮らすことに。“おじさんだらけのテラスハウス”が始まる。その中、10年前に撮影し、頓挫した6人による映画「バイプレイヤーズ」のフィルムがシェアハウスの倉庫から盗まれ、大杉は5人の中に犯人がいるとにらむ…。

 本人役の役作りについて尋ねると「役作りうんぬん以前に、自分自身で心に強く感じていることは“役者の仁義”ってあるわけね」と熱い思いが飛び出した。

 「この作品は、たくさんの役者さんが注目して見ると思うのよ。オレの“役者の仁義”っていうのは、このドラマを見た役者さんたちを『出たかったなぁ〜』と嫉妬させなきゃいけない。何人もの役者さんがいる中で、6人に選ばれたわけだから。選抜から外れた人たちを嫉妬させないと、それは本当に彼ら彼女らに申し訳ない。選ばれたからには『参ったなぁ〜』と嫉妬させなきゃいけない。どんな作品でもそうだけど、いつも心に強く思っている、そういう意味の“役者の仁義”がとても大事だと思う」。東京・下町育ちの口調で、気骨に満ちた言葉が続いた。テクニックの前にある熱い思い。長男誕生の際に「愛・恩義・結束力」を家訓に掲げ、公私にわたり「義」を重んじる。

 今作の企画の発端は、6人を特集した2002年秋の映画祭「6人の男たちフィルムズ」(東京・下北沢)。それから14年。ついに実現した“奇跡の共演”だけに、寺島が抱く“役者の仁義”も「今年(16年)一番強いかな。素晴らしい俳優さんが集まっているだけにね。その責任はあると思うんだよね」

 ほかの俳優に嫉妬を生むために必要なことは何か。「今回は6人が主役なわけだから、それぞれの責任の背負い方があると思うのね。その6人がドーンと一体化する瞬間がある。個性的な6人が1つにまとまった時、すごいエネルギーが画面に出ていると思うので、最終話まで、そういう気持ちを忘れずにやっていきたい。だからと言って、あまり力を入れても、しようがないしね。肩にグーッと力が入るんじゃなく、フラットな感覚で、いい緊張感が出ていればいいんじゃないかな。メリハリがあればいいと思う」。6人が黒のスーツに身を包み、海沿いを歩くオープニングも「ただ歩くだけなんだけど、一体化していたね。みんな、いい意味で気分が高まっていたんじゃないかな。いい絵が撮れていると思いますね」と手応えを示した。

 5人と共演しての新発見は演技以外を挙げた。「待つのも仕事なんでね。待ち時間の過ごし方、みんな、一流だね。このおじさんたちは、本当にくだらないことを言っていますよ」と笑い「みんな、それぞれ過ごし方を分かっているんだと思います。やっぱり何気ない時間の佇まいが、画面に出てくると思いますよ」。芝居の世界をサバイブしてきた盟友たちの“生き様”に感心した。

続きを表示

2017年2月10日のニュース