桂米朝さん特別展、没後初開催 ゆかりの品など展示「米朝アンドロイド」も

[ 2017年1月11日 14:19 ]

特別展「人間国宝・桂米朝とその時代」の発表会見に臨む(左から米朝事務所・今井浩社長、三男・中川渉氏、桂米團治、歴史博物館・藪田貫館長、小澤紘司氏
Photo By スポニチ

 兵庫県立歴史博物館で28日から開催される特別展「人間国宝・桂米朝とその時代」の発表会見が11日、大阪市内で行われた。特別展は2015年3月19日に89歳で亡くなった落語家で人間国宝の3代目桂米朝(本名=中川清)さんの生涯を資料、写真などでたどり、振り返るもの。今回で6回目の展示で、米朝さんの没後初めての開催。「生い立ち」「落語への想い」「上方落語の復興」「円熟期」「エピローグ」の5部から構成されている。

 米朝さんの故郷・姫路市にある兵庫県立歴史博物館での特別展を担当するのは、同館事業企画課長で三男の中川渉氏(56)。学芸員の資格を持つ渉氏が同館への異動辞令を受けたのが米朝さんの命日。辞令を受けた直後に父の危篤を電話で知らされ、自宅へ戻ったという因縁がある。展示する資料を整理しながら「自分の知らない父と向き合ってる感じがした」と渉氏。異動後に同館での開催を持ちかけられ、「親の特別展の担当、覚悟を決めました」と開催が決まった。

 展示資料は約600点、写真は約100点にのぼる。第2次大戦の戦中、戦後の困難な生活の中でも欠かさず劇場へ通った証となる「劇場控え」や、米朝さん直筆の新作落語「一文笛」の原稿、73年3月に家族5人で行った宮崎、鹿児島への家族旅行の写真などが初めて展示される。なかでも特筆すべきなのが昨年1月9日に85歳で亡くなった3代目桂春団治さんの遺品から見つかった「親子茶屋」の直筆原稿。59年3月に3代目を襲名する春団治さんに「“ネタが少ないから、やらなアカンな。しゃあない。でも、一升瓶を持って来よった”と生前に何度か聞かされました」と米朝さんの長男で5代目桂米團治(58)。米朝さん直筆の手紙で「大変遅くなってしまひまして、申しわけありません」(原文のまま)で始まり、「親子茶屋」の原文が書かれ、最後は「弥生中浣(3月中旬)桂春団治御師匠様」(原文のまま)で締めくくられている貴重な資料も一般公開される。また、2012年の「米朝展」で制作、展示された「米朝アンドロイド」も飾られる。

 「落語は旧暦でやります。その旧正月の元日にあたる28日に始まるのも、めでたいですね」と米團治。3月20日まで。落語界やトークショーも開かれる。

続きを表示

この記事のフォト

2017年1月11日のニュース