祐真キキ つか氏“幻の戯曲”ヒロイン抜てき!七回忌の来年上演

[ 2015年12月23日 08:00 ]

米から一時帰国した祐真キキ

 不世出の劇作家つかこうへいさん(享年62)の未発表の戯曲「引退屋リリー」(製作つかこうへい事務所)が来年2月から東京・新宿紀伊国屋ホールで上演される。ヒロインには世界中で大ヒットした海外ドラマ「ヒーローズ」の新シリーズに抜てきされた女優、祐真(すけざね)キキ(26)が決定。ドラマ撮影を終え、帰国した祐真は「激しく感情をぶつけ合う“つか作品”でまた新たな扉を開きたい」と力が入っている。

 「引退屋リリー」は82年「蒲田行進曲」で直木賞作家となったつかさんが、再び劇作家・演出家として舞台に戻ってきた89年「幕末純情伝」の上演時に“予告編”として存在を明らかにしていた作品。何度も改訂を加え、91年に主役オーディション募集のチラシまで作ったものの一度も上演されなかった幻の作品だ。

 ニセモノの美空ひばりがマッカーサー元帥の子を身ごもり、生まれた娘が母親に復讐(ふくしゅう)するという荒唐無稽な物語。それをミステリーにすり替えることで、何が真実で何が作り事なのか分からなくなっていくスリリングな展開は、つかさんの真骨頂といえる。

 構想3年も「演じられるヤツがいない」との理由でお蔵入り。つかさんの七回忌を迎える来年によみがえることになった理由は、才気あふれる若い役者たちの登場だ。主役の刑事役は、つかさん最後の愛弟子でドラマや映画でも活躍中の馬場徹(27)。そしてヒロイン・リリー役には、人気海外ドラマ「ヒーローズ」の新章「ヒーローズ・リボーン」に日本人女優で初めて抜てきされた祐真だ。

 22歳で渡米し、オーディションに挑戦し続ける馬力とそのビジュアルに演出の岡村俊一氏がほれ、キャスティングした。舞台はこれが初挑戦。「アメリカではガツガツ自分をアピールし、主張しないと前へ進めない。激しい感情をぶつけ合う“つか作品”で舞台のすべてをイチから学びとりたい」と話す。

 ヒーローズでは撮影中に相手の木刀で頭を切って流血。いまもおでこに傷痕が残るが「殺陣などのアクションも多い舞台なので思い切り暴れたい」と意欲を見せている。

 ほかに、NHK「あさが来た」の炭坑の親分役で人気の山崎銀之丞(53)らが出演。上演は2月18日から3月7日まで。

 ◆祐真 キキ(すけざね・きき)1989年(平元)4月5日、京都府生まれ。高校時代に米国留学し、卒業後、バックパッカーとしてタンザニアに滞在。ハリウッド女優を目指し22歳で再渡米した理由は「アンジェリーナ・ジョリーのような有名人になって難民問題や環境破壊の現状について多くの人に発信したいから」。身長1メートル53。

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