又吉“芥川賞”プレッシャーに「吐きそう」も次作へ意欲

[ 2015年8月22日 06:00 ]

第153回芥川賞・直木賞贈呈式フォトセッションに臨む東山彰良氏、又吉直樹氏、羽田圭介氏(左から)

「第153回芥川賞・直木賞」贈呈式

 【芥川賞受賞の又吉直樹あいさつ全文】

 文学界の2月号に「火花」を発表させていただきまして、増刷になって凄く僕自身びっくりしました。僕が普段、お笑いライブをやっても1万人、2万人という人数を集めることはできないので。(火花を買ってくれた人の中に)小説を普段読まない人とか、興味あるけど難しいからなかなか手に取る機会がないなと思っていた人がそれだけいたんやというのが僕はうれしかった。

 そこから芥川賞の候補になって多くの人に読んでもらったんですけど、いろいろと考えることがありました。よく「芸人と作家とどっちや?」と聞かれますが、若手時代にあんまり仕事がなくて、アルバイトの面接とかも受かるタイプではなかったので生活が苦しかったんですが、そんな時に一番最初に吉本(興業)の社員さんに「好きなんだったら文章書いてみたら」と言って、コラムみたいなものを書かせてもらったりとか、そこからいろんな方々にチャンスをいただきました。最初は400文字から始まって、徐々にチャンスをもらいました。

 2009年に、作家のせきしろさんに誘っていただいて「カキフライが無いなら来なかった」という本を一緒に出版することができて、それが芸人としても大きな自信につながりました。自分が書いたものが本になったっていう、芸人をやる上でも文章を書かせてもらえるってことは僕の中で凄く大きい。よく「芸人100%でいきます。それ以外の時間で文章書いていきます」って話をするんですが、それはどっちが上とかじゃなくて、僕にとっては両方必要だと考えています。

 芥川賞の候補になった時から「次、どうすんねん」ってことで「凄いプレッシャーを感じるでしょう?」って言われるんですけど、確かに最初の何日間かはゲー吐きそうだったんですけど、よくよく考えてみたら、そもそも仕事も何もなくて「とにかく舞台立ちたいな」とか「自分に書いたものを人に読んでもらいたいな」という時期が長かったので、どうなろうとも表現する場を与えてもらっているってことが凄くうれしく思います。

 今回、芥川賞を受賞することによって、次書かないというのは凄く失礼だという気もしますし、書くべきだと思っているので、面白いものを書きたい。また皆さんに読んでもらって、それぞれ率直な感想をいただければ励みになりますので、今後ともよろしくお願いします。

続きを表示

2015年8月22日のニュース