【天皇の料理番】佐藤健が愛すべき男を好演、撮影・音楽一級品

[ 2015年4月26日 09:30 ]

TBSテレビ60周年特別企画・日曜劇場「天皇の料理番」第1話の1場面(佐藤健)(C)TBS

 佐藤健(26)が主演を務めるTBSテレビ60周年特別企画・日曜劇場「天皇の料理番」(日曜後9・00)は26日、スタートする。同局の連続ドラマのうち、唯一「60周年」の冠。近年は初回15分拡大が一般的だが、2時間スペシャルと力が入る。

 原作は直木賞作家・杉森久英氏の同名小説。大正~昭和の史実に基づき、日本一のコックを夢見て上京した青年・秋山篤蔵(佐藤健)の成長を描く。1980年10月~81年3月(TBS、連続ドラマ)、93年2月(TBS、単発ドラマ)に続く3度目のドラマ化。TBS「世界の中心で、愛をさけぶ」「JIN―仁―」「とんび」などを手掛けたプロデュース・石丸彰彦氏、脚本・森下佳子氏、演出・平川雄一朗氏が再びゴールデンタッグを組む。

 ドラマは明治37年(1904年)の正月、秋山家がある福井県武生の農村から始まる。この時、篤蔵は16歳。冬山をバックに、畦道を急ぐ2人の僧侶。板の上にうつ伏せになり、わらを掛けられた男を運んでいる。昨年12月のクランクインの際、福島県で撮影され、作品のスケールの大きさが伝わる導入。ロケ地は4月中旬現在、1都1府12県とフランス・パリに及び、撮影も1クール作品としては異例の半年間となる。

 第1話は、鯖江にある昆布問屋・松前屋 (高浜家) への篤蔵の婿養子入り、篤蔵のカツレツとの運命の出会いなどが丹念に描かれる。

 ヤンチャな一面もあり、何をしても長続きしない短所はあるものの、篤蔵は茶目っ気たっぷりで、どこか憎めない。人を引き付け、人に愛される魅力の持ち主。中学以来という丸刈りの佐藤は、太陽のように周囲を明るく照らす篤蔵のキャラクターを体いっぱいに表現する。心温まる後味は人間愛にあふれるストーリーとともに、佐藤の演技によるところが大きい。

 妻・俊子は今、古風な女性が最も似合う黒木華(25)、兄・周太郎は役作りのため20キロの減量を成し遂げた鈴木亮平(32)が演じる。2人が篤蔵に注ぐ“無償の愛”に、初回から胸を打たれる。周太郎の弟への眼差しが何とやさしいことか。

 横浜・緑山オープンスタジオに大掛かりなセットを組み、東京・丸の内の赤レンガ街を再現するなど壮大さの一方、手元の料理シーンもきめ細やか。初回のカツレツは必見。

 音楽もコミカルな場面、篤蔵の気持ちの高ぶり、篤蔵・俊子夫婦の心の通じ合い…とシーンごとに実に表情豊か。作曲家の羽毛田丈史氏、やまだ豊氏が担当。物語に深みを与える。

 篤蔵の夢、厨房の扉は今夜、開かれる。

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