坂本龍一、咽頭がんで演奏活動休止 創作活動は病床で継続

[ 2014年7月10日 08:00 ]

がんを患っていることが分かった坂本龍一

 世界的音楽家の坂本龍一(62)が中咽頭がんの治療に専念するため、演奏活動を全面的に休止することが9日、分かった。10日に自ら公表する。

 米ニューヨーク在住の坂本が喉に違和感を覚えるようになったのは、6月に入ってから。そこで精密検査を受けたところ、7月初めに中咽頭がんと判明した。

 咽頭は、喉の鼻の奥から食道までの、食べ物と空気が通る部分のこと。食事と呼吸という生命維持に不可欠な機能を担っているほか、社会生活に重要な声によるコミュニケーションを取るための機能も担うなど、極めて重要な場所。上中下に分類され、口を開けたときの突き当たりに相当する部分を中咽頭という。

 咽頭がんは、たばことの関連が深い。坂本も長年の愛煙家で、かつては周囲に「胸が苦しい」と漏らしたこともあった。それが9年前、ハリ治療で禁煙に成功。それ以来1本も吸っていない。

 坂本はがん治療に専念するため、10日に病名などを公表した上で闘病生活に入る。来週末から開催される「札幌国際芸術祭」(札幌市、19日~9月28日)の統括役であるゲストディレクターを務めることになっていたが、9日までに事情を説明し、期間中の舞台演出などができなくなったことを伝えている。ただ、世界の芸術家による多彩な出展作品を自ら選定するなど「全体の企画については既に終えているものもある」(実行委員会関係者)という。

 このほかにも、30日に都内で予定されているスペシャルライブなど来年まで多くのスケジュールが入っていたが、海外を含めて全ての演奏活動が休止されることになった。創作活動は、病床でも続けるとみられる。

 ◆坂本 龍一(さかもと・りゅういち)本名同じ。1952年(昭27)1月17日、東京都生まれの62歳。東京芸大大学院卒。78年に細野晴臣、高橋幸宏と「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成。88年に映画「ラスト・エンペラー」で音楽を担当しアカデミー賞最優秀作曲賞やグラミー賞を受賞。09年に仏政府から芸術文化勲章を受勲。昨年はイタリア・ベネチア国際映画祭で審査員を務めた。父は三島由紀夫「仮面の告白」、野間宏「真空地帯」などを手がけた名編集者の故坂本一亀氏。

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