視聴率争いで苦戦のフジ 「踊る」亀山新社長就任で再浮上なるか?

[ 2013年5月15日 08:05 ]

10年5月、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE3」のイベントで主演の織田裕二(右)と笑顔を浮かべる亀山千広氏

 フジテレビの豊田皓社長(67)の後任に、ドラマ「踊る大捜査線」のプロデューサーを務めた亀山千広常務(56)を充てる人事が固まったことが14日、関係者への取材で分かった。6月に開く株主総会後の取締役会で正式決定する。同局は視聴率争いで苦戦が続いているだけに、亀山氏の起用で世代交代を加速させ、再浮上のきっかけとする狙いがあるとみられる。

 思い切った若返り人事に、民放関係者は「驚いたが、亀山氏の明るいイメージには期待が持てる」と好感を示した。また、日枝久会長(75)が留任することから「大勢は変わらない。会社の顔を有名人に代えることで、イメージアップをはかる狙いだろう」と指摘する声も。同局は30代を積極的に現場トップに登用しており、亀山氏の起用で世代交代を加速させる狙いもあるとみられる。

 この人事は15日の役員会で内定する見込みだ。

 亀山氏は80年入社。番組最高視聴率が36・7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録したドラマ「ロングバケーション」をはじめ、アニメ「タッチ」などもプロデュースした。ドラマを映画化する手法で次々とヒット作を生み出し、なかでも織田裕二(45)主演の「踊る大捜査線」シリーズが大ヒット。「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」は、実写邦画歴代1位となる興行収入173億5000万円を記録した。

 強運の持ち主としても知られ、02年のサッカーW杯日韓大会では、民放局がどの試合を放送するかくじ引きで決める抽選会で、日本―ロシア戦の好カードを引き当てた。この中継がスポーツ中継歴代2位の平均視聴率66・1%をマークし、神の手ならぬ“亀の手”のニックネームが付いた。

 ライバルとの出世争いにも勝った。昨年、2大ヒットメーカーとしてしのぎを削ったプロデューサーの大多亮氏(54)と同時に常務に就任。どちらが先に社長になるのか注目を集めていた。

 同局は11年、7年間続いた年間視聴率3冠の座を日本テレビに明け渡した。昨年はテレビ朝日にも抜かれ、3区分の全時間帯で3位と苦戦が続いているだけに、亀山氏の起用を再浮上のきっかけとしたいところだ。

 ≪日枝会長は留任≫豊田氏は、フジ・メディア・ホールディングスの社長も退き、同局とホールディングスの副会長に就任する。ホールディングスの社長には、太田英昭副社長(66)が昇格する見通し。日枝氏はテレビ、ホールディングスともに留任する。

 ◆亀山 千広(かめやま・ちひろ)1956年(昭31)6月15日、静岡県生まれの56歳。早大政治経済学部卒。入社後すぐに編成部に配属され、アニメやドラマをプロデュース。03年、新設された映画事業局の局長、10年に取締役に就任。昨年、常務とフジ・メディア・ホールディングスの取締役に。映画「踊る大捜査線」シリーズで藤本賞、渡辺晋賞を受賞。

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