ABCラジオが三国連太郎さん追悼番組…過去の名作再放送

[ 2013年4月23日 08:56 ]

三国連太郎さん

 ABCラジオが、14日に急性呼吸不全のため亡くなった俳優・三国連太郎さん(享年90)の追悼番組を28日(後8・00)に放送する。生前に三国さんが出演した同局制作のラジオドラマ「もみの木の物語」の再放送、当時の三国さんへのインタビューなどを交えた1時間番組となる。

 同ドラマは、森で生きるもみの木・スプルースと彼の声が聞こえた少年が、親子のように絆を深めていく感動作で、2000年1月に都内で収録され、同2月13日に放送。同年度の日本民間放送連盟賞エンターテイメント部門最優秀賞を受賞した。

 本編54分のうち大半は、三国さん演じるスプルースと、子役・内藤大希(当時8)演じる少年との対話。作・演出を担当した同局・橋本祐子ラジオ局長補佐は、「徹底した役作りをする三国さんから1つお願いをされた」と振り返った。1957年公開の映画「異母兄弟」では30代半ばで老け役を演じるため、麻酔もかけずに多くの歯を抜いたが、「もみの木の物語」では本番当日、収録前に子役と2人きりの時間を1時間欲しいとリクエスト。三国さんはそこで、「学校はどう?」「得意な科目は?」「どんな遊びが好き?」などと、孫に接するように優しく語りかけていたという。

 おかげで本番は、「稽古では拙かった大希くんのセリフが見違え、2人の息もぴったり。子役との空気感まで築かれる三国さんの役作りに、胸が震えた」と橋本さん。三国さんには“気に入らなければ脚本も書き換える”などという噂もあったが、「一言一句、脚本通りだった」という。演出の細かい注文にも、「真摯(しんし)に丁寧に向き合ってくれる素晴らしい方でした」と絶賛した。

 同局では、同番組の販売を検討しており、全国各地で放送される可能性がある。

 ≪異例の出演に感謝≫三国さんのような大御所がラジオドラマ、しかもローカル局の作品に出演するのは異例と言える。橋本さんがファクスで事務所に送った企画書を読んだ三国さんが「やるよ」と快諾。「脚本を読まずにあらすじだけで出演を決めたのは、後にも先にもこの作品だけ」と、当時のインタビューで語っており、スプルース役に直感的に強く引かれたようだ。やりたい、と思ったら出演料にもこだわらない器の大きさ。橋本さんは「本当に感謝。今思うと怖いもの知らずのオファーでした」と、苦笑いした。

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2013年4月23日のニュース