18年ぶり海外 健さん「泣いちゃったね」 5分間大拍手に感激

[ 2012年9月4日 07:16 ]

観客に手を合わせて感謝を伝える高倉健

 第36回モントリオール世界映画祭(カナダ)のワールドコンペティション部門に正式出品された映画「あなたへ」(監督降旗康男)が2日(日本時間3日)、公式上映され、主演の高倉健(81)が現地で会見した。約5分間のスタンディングオベーションに感涙。「鉄道員(ぽっぽや)」で同映画祭の最優秀男優賞に輝いた99年は欠席しており「お礼がしたかった」と感謝した。

 鳴りやまぬ拍手に、立ち上がった高倉は手を合わせて応えた。海外の映画祭は94年に「四十七人の刺客」(監督市川崑)でベネチアを訪れて以来18年ぶり。涙のたまった目頭を白いハンカチで押さえた。「泣いちゃったね。ふっと出てしまった。前に座っていた地元のおばあちゃんも泣いていた。映画祭は良いものだね」と感激にひたった。

 13年分の感謝を伝えるための出席だった。99年の同映画祭で最優秀男優賞を受賞しながら欠席。「どこかでお礼がしたかった。あと、降旗監督が(体調不良で)来られなくなったので、しぶしぶ来た」と照れ隠しのジョークで会場を沸かせた。

 持ち前の高い英語力を発揮し、通訳を介さず答える場面も。劇中で披露した料理の腕前を褒められた際、「(私生活では)焼き飯も作ったことがない」と答えた上で、俳優業については「That’s my occupation(それが私の仕事)」とプライドをにじませた。

 06年公開の中国映画「単騎、千里を走る。」以来の映画出演。日本を代表する名優に、海外メディアから「なぜ6年も休んでいたのか」の質問も飛んだ。高倉は「very difficult question(とても難しい質問)。今はまだ分かりません」と答えた。56年のデビューから役者人生最長のブランクは「自分の仕事の仕方を考え直す」ための時間だった。「その結論はまだ出ていない」。だが「お客さんの拍手はゾクッとするものがあった。これが映画祭の魔力。心に衝撃を受けた。何十年役者をしていてもこんな経験をする。映画にはそういう力がある」と俳優業の“魔力”を再確認したようだ。

 授賞式は3日夜(日本時間4日)に行われる。

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2012年9月4日のニュース