あっちゃん涙の東京ドーム最終公演「AKBは青春の全て」

[ 2012年8月27日 06:00 ]

桜吹雪が舞う中、場内一周する前田敦子

AKB48東京ドーム公演最終日

 AKB48の前田敦子(21)が27日、卒業する。念願の東京ドーム公演は26日に最終日を迎え、前田は全51曲中24曲に登場し「絶対的エース」としての歌と踊りを披露。フィナーレでは「AKB48は私の青春の全てでした」とあいさつし、約4万8000人の惜別の声援と拍手を浴びてステージを後にした。卒業の地は東京・秋葉原の専用劇場。思い出がたっぷり詰まった場所で新たなスタートを誓う。

 しばらく言葉が出てこない。約4万8000人を前に1人でステージに立った最後のあいさつ。ドーム中に大きな「あっちゃん」コールが響き渡る。何も話さないうちから涙があふれてくる。自分を促すように何度もうなずく。

 「私は小さい頃から人見知りでした…」。自他ともに認める「不器用」な前田らしい語り出し。このステージに立つ思いを「とても不思議で、幸せいっぱい」と語り、卒業について「正直、凄く寂しい」と明かした。

 感謝の思いを込めて深く頭を下げる。今度は、しばらく頭を上げることができない。おえつが漏れる。また大きな「あっちゃん」コールを受け、ようやく正面を向いて話しだすと、最後に言い切った。

 「AKB48は私の青春の全てでした」

 ラストナンバーは「夢の河」。長年苦楽を共にしてきた高橋みなみ(21)ら一人一人と抱擁をかわした後、ステージに用意された白い小舟に乗って去っていった。

 劇的なドーム最終日だった。オープニングでは、AKBのライブでは珍しいオーケストラを従え、1人で登場した。曲はインディーズデビュー曲「桜の花びらたち」をソロバージョンにした「桜の花びら」。ドームの大観衆の中でいきなり1人で歌うサプライズだ。2コーラス目を歌い始める際に一瞬、早くも感極まって声を詰まらせそうになったが、こらえて歌いきると満足そうな笑みを浮かべた。

 20曲目から23曲目までは完全な「あっちゃんコーナー」。1人で歌うのが嫌でスタジオに閉じこもったエピソードがある「渚のCHERRY」は次期エース候補とされる島崎遥香(18)ら3人と披露。ソロシングル曲「君は僕だ」では4万8000人の視線を一身に浴びながら堂々と歌い踊るスーパーアイドルぶりを発揮した。

 いよいよAKBの一員としての最後の瞬間が近づいた。

 「AKBは最近やっと楽しめるようになったんですよ」

 今年1月のインタビューで前田はそう語った。後に分かったことだが、実は既にその時、卒業を決意していた。長年続いた「不動のセンター」の重圧から解放される日に向けて吹っ切れたようだった。

 3月の卒業発表の翌日に訪れた香港で見せた、解放感あふれる笑顔も印象的だった。楽しそうに「これは卒業旅行」と言い切り、ファンに「私はまだAKB。一緒に楽しんでくれたらうれしい」と明るくメッセージを送った。

 しかし、そんなAKBとの初めての蜜月が、とうとう、終わってしまう。

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