「１００万回生きたねこ」の佐野洋子さん死去

死去した佐野洋子さん

　ロングセラーとなった「１００万回生きたねこ」で知られる絵本作家の佐野洋子（さの・ようこ）さんが５日午前９時５４分、乳がんのため死去した。７２歳。中国・北京生まれ。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。喪主は未定。

　武蔵野美大卒。ベルリン造形大でリトグラフを学び、帰国後、絵本、童話、エッセー、翻訳などで幅広く活躍した。「１００万回生きたねこ」は、生と死を１００万回繰り返してきた猫が、愛する猫の死を悲しんで後を追うように死に、ついに生き返らなかったという物語で、子どもから大人までが愛読。１９７７年の初版以降、発行部数は１７０万部を超えた。
　晩年はシニカルな視線で自らの老いを見詰めるエッセーを発表し、がんを文中で明らかにした。エッセー集に「神も仏もありませぬ」（小林秀雄賞）や、自身の母の思い出をつづった「シズコさん」など。
　他の絵本に「わたしのぼうし」「ねえ　とうさん」「わたしいる」などがある。２００３年に紫綬褒章。０８年には長年の絵本創作に対し巌谷小波文芸賞が贈られた。
　詩人の谷川俊太郎さんは元夫。