小澤征爾氏 サザン桑田にエール「絶対大丈夫」

[ 2010年8月2日 06:00 ]

今後への意欲を語る小澤征爾氏

 今年1月に食道がんであることを告白し活動を休止していた指揮者の小澤征爾氏(74)が1日、長野県奥志賀高原のホテルで若手音楽家たちのリハーサルに臨み、7カ月ぶりに指揮姿を披露した。会見では「きょうは第2の人生の初日」と復帰を宣言。同じ食道がんで闘病中のサザンオールスターズの桑田佳祐(54)に「今の医学は大変進歩している。絶対大丈夫!」と力強くエールを送った。

 食道がんに打ち勝った世界のオザワが桑田にエールを送った。
 「桑田さんのことは聞いていました。ぼくと同じく人間ドックで(初期のがんが)見つかったとか。絶対大丈夫!」。同じ病気から生還した人間の言葉だけに説得力は十分。桑田にとっても勇気100倍のメッセージになったに違いない。
 顔色はよく、声も張りがあり順調に回復している様子。終始、笑顔で今後の活動について語った中「大きな病気をすると多くの人に迷惑が掛かる。そして何よりも家族がスクラムを組んで支えてくれたからこそ、きょうを迎えることができた」と家族について触れた時だけは声を震わせた。会場にはベラ夫人、長女でエッセイストの征良さん、長男で俳優の小澤征悦も姿を見せ、心配そうな様子で見守っていた。
 この日は小澤氏が総監督を務める「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」に参加するアジアの若手音楽家たちの合宿地でリハーサルに参加。昨年12月以来約7カ月ぶりに、若手を相手に約40分にわたってモーツァルトやチャイコフスキーの弦楽合奏曲を指揮。椅子から立ち上がり、大きな声で指示を飛ばすなど気合十分の指揮で回復ぶりをアピールした。
 がんが判明したのは昨年12月。人間ドックで初期の病巣が発見され、今年1月に都内の病院に入院し食道を全摘出する手術を受けた。「手術の直後はこうした日を迎えられることは夢みたいな話だった」と小澤氏。体重が15キロも減ったため「着られる服がなくなった」そうで、この日のために夫人が森英恵さんに特注した黒のマオ・カラーのジャケットを着て晴れの復帰に臨んだ。
 がん判明後、音楽監督を務めていた(今年6月で任期満了)ウィーン国立歌劇場の公演などすべての予定をキャンセル。今後は「海外の仕事は自分が監督職を務めるなど責任を負っているものに重点を置いてやっていく」意向。ステージ復帰は「サイトウ・キネン」で9月5日に予定されているオーケストラ公演。「これからは自分のペースでより深く音楽と向き合っていきたい。病気を克服したことで自分の音楽により良い変化があればうれしい」と話した。

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2010年8月2日のニュース