谷原章介 凶悪犯役でNHKドラマ初主演

[ 2009年9月23日 06:00 ]

 俳優の谷原章介(37)がNHKドラマに初主演する。松本清張作品のスペシャルドラマ「顔」(12月29日後9・00)。俳優としてのし上がるために恋人を殺害し、さらに目撃者に対しても殺意を抱く凶悪犯役。これまでのさわやかなイメージを覆す新境地で、清張の生誕100年記念作品シリーズのトリを飾る。

 谷原とって清張作品は初めて。「何度も見ていた松本清張先生の作品に参加できることは、喜びとともに身が引き締まる思いです」とコメント。新境地への挑戦には「やりがいと難しさを感じていますが、監督の伊勢田(雅也)さんとは(04年の大河ドラマ)新選組でもご一緒しており、とても心強いです。自分の代表作になるよう頑張りたい」と意気込んでいる。

 演じるのは売れない劇団俳優・井野良吉。過去の殺人が露見することを恐れ、第2の犯罪を計画する姿が描かれる。喜び、おびえ、絶望するなど複雑な感情を抱きながら、さまざまな表情を見せる演技が見どころになる。

 今年は生誕100年を記念した清張作品の映像化が相次いだ。その中でも「顔」はメモリアルイヤーのトリを飾る作品。加賀田透プロデューサーは「松本清張初期の傑作短編で、生誕100年にドラマ化するのにふさわしいと考えた」と説明。谷原の起用については「スターの座をつかみたいという欲望と、過去の殺人が明るみに出る恐怖の間で揺れ動く主人公の、クールな外見の中に秘めた狂気、そして悲しみを表現できると思いました」と話している。

 NHKが清張作品をドラマ化するのは、02年の時代劇「逃亡」以来。それ以前となると、1982年に放送された連続ドラマ「けものみち」までさかのぼる。殺人などを扱うテーマが同局と合わなかったことから敬遠されてきたとみられている。

 ▽顔 舞台は戦後の復興期。井野は映画の大役に抜てきされ、スターの道を歩み始めた時、9年前のことが気になり始めた。妊娠したという恋人を将来の邪魔になると考えて殺害し、それを知り合いに顔を見られたと思い込んでいたのだ。スクリーンに映し出された自身の顔を目撃者が見たら、過去の殺人が暴かれると考え、口封じのために第2の犯罪を計画する。1957年に第10回日本探偵作家クラブ賞受賞。

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2009年9月23日のニュース