フラガール、篤姫はどこで撮影?ロケ誘致も知名度は?

[ 2008年11月26日 08:35 ]

茨城県が支援したテレビドラマの撮影風景=07年6月、茨城県笠間市

 観光客を増やしたり知名度アップのため、全国の地方自治体や観光協会が映画やテレビドラマのロケの誘致に力を入れている。だが制作者側が求める理想のロケ地は「特徴のない場所」。完成した作品を見てもどこで撮影したか分かりづらいケースも多く、地元のPR効果には疑問符がつく。

 レトロな駅舎のホームに並び、フラダンスの振り付けで思いを伝える少女たち―。閉鎖が決まった炭鉱の町の再生を描きヒットした映画「フラガール」のワンシーンだ。
 舞台は福島県いわき市の設定だが、このシーンは茨城県ひたちなか市の旧茨城交通湊線の那珂湊駅で撮影された。
 茨城県は2002年からロケ地の紹介や警察署への撮影許可の手続きを手伝い、NHK大河ドラマ「篤姫」などさまざまな作品に協力。自治体などが撮影支援のため組織したフィルムコミッション(FC)が参加する全国FC連絡協議会によると、06、07年度の支援件数は全国トップという。
 一方、同県を舞台にした作品は増えるどころか、07年度はゼロ。推進室の沼尻憲室長は「ロケ地と最後の字幕で紹介されるだけでは、見ている人は茨城と気付かずPR効果は限定的」と表情を曇らせる。
 ロケ支援の動きはここ数年で広まり、連絡協議会に加盟するFCは01年に11団体だったのが、08年には100以上に急増。しかし最大の目的である地元のイメージアップには必ずしもつながっていないのが実情だ。
 「特徴がないのがすごい特徴」。北野武監督の映画「アキレスと亀」の制作管理を担当したオフィス北野の小宮慎二さんは茨城県のロケ地をこう絶賛。「身近なテーマでどんな設定にも合う普通の風景が求められている。今は主人公がヒーローばかりでないのと同様だ」と説明する。
 そもそも制作会社が撮影の相談に来る段階で、どこの地域をテーマにした作品か決まっていることが多い。
 神戸フィルムオフィスのスタッフ三宅千佳さんは「まだ計画段階のときに相談されれば“神戸を舞台に”と勧めるが、受け入れられたことはない」と苦笑い。
 FCの多くは自力で実績をPRしようと、どの作品がどこで撮影されたか分かる「ロケ地マップ」を作成。茨城県の沼尻室長は「何とか一般の人に撮影場所を知って興味を持ってもらえるように努力したい」と話すが、特効薬はない。

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2008年11月26日のニュース