勘三郎 久世“監督”にささぐ「浅パラ」

[ 2008年11月22日 06:00 ]

(左から)柄本明、中村勘三郎(当時勘九郎)、藤山直美の主演トリオが8年ぶりに帰ってくる

 歌舞伎俳優の中村勘三郎(53)が主演する人気舞台シリーズの第5弾「帰ってきた 浅草パラダイス」が、来年2月に東京・銀座の新橋演舞場で上演される。8年ぶりのシリーズ復活。前4作は2006年3月に亡くなった名演出家の久世光彦氏の作品で、今回は「久世光彦追悼」の冠をつける。勘三郎は「久世さんをしのびつつ、新鮮な気持ちで作り上げたい」と意欲をみせている。

 ファン待望の作品が、新橋演舞場に8年ぶりに帰ってくる。97年2月に「浅草慕情-なつかしのパラダイス-」のタイトルで始まったシリーズは、98、00、01年と、これまで同劇場では4回上演されている。昭和初期の浅草を舞台にした、芸人の世界を涙と笑いで描いた人情喜劇で、「浅パラ」の通称で親しまれてきた。
 01年の「さらば 浅草パラダイス」後も再演を望む声が多かったが、06年に演出の久世氏が死去。久世氏は、勘三郎、柄本明(60)藤山直美(49)の主演トリオ以上に、シリーズには欠かせない存在。シリーズ存続が危ぶまれたが、「さらば…」に出演し、久世氏から直接指導を受け、勘三郎らからの信頼も厚いラサール石井(53)が演出を引き継ぐことで話がまとまった。
 ラサールは「さらば…」以降、同劇場の2月喜劇公演に何度も出演、演出も手掛けるなど、うってつけの“配役”。「久世さんに追いつきたいと思って悪戦苦闘してきました。追悼ということもあり、身が引き締まる思いです」と緊張の表情。それでも「久世ワールドのにおいと名場面は残し、笑いと感動は割り増しにしたい」と、構想を練り始めている。
 勘三郎も感慨深い面持ち。「亡くなられて3年になるんですか…。久世さんをしのびつつ、新鮮な気持ちで楽しい舞台を作り上げたい」と全力投球を誓った。公演は2月1日から25日まで。

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2008年11月22日のニュース