小室被告保釈 脱「裸の王様」へ待ってて…

[ 2008年11月22日 06:00 ]

保釈され「お騒がせして申し訳ありません」と謝罪する小室哲哉被告

 著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺事件で逮捕された音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)が21日、大阪地検特捜部に起訴され、同日夜に保釈された。逮捕から17日ぶりに姿を見せた小室被告は「できることなら音楽で頑張りたい」と謝罪した。保釈保証金は3000万円。資金のない被告に代わり、妻で「globe」のKEIKO(36)=ソロ活動はkco=と、多くのヒット曲をともに作り上げたエイベックスが納付した。

 小室被告は、大阪拘置所に150人以上集まった報道陣の前に歩み寄り「ご迷惑をお掛けし、お騒がせして申し訳ありません」と頭を下げた。
 午後6時30分すぎ、拘置所の出口に黒いタートルネックで現れた。逮捕直後に母親が差し入れたセーターとみられる。髪は金色で、体重も変わらない様子。関係者によると「魚嫌いの偏食を知っているファンたちからお菓子など食べ物の差し入れが相次いだ」というから、拘置所の食事はあまり食べなかったようだ。
 一時は「音楽界の帝王」と呼ばれただけにカメラのフラッシュに保釈の実感を覚えたのか、照れくさそうにほほ笑む場面もあったが、終始神妙な表情。「できることなら音楽でまた頑張っていきたいと思います」と話すと再び頭を下げ、迎えの車に乗り込んで大阪市内のホテルへ向かった。
 小室被告は調べに「返済期日が迫り、何としても金をつくらなければ破産すると思った」と供述するなど起訴事実を全面的に認めている。大阪地裁では逃亡や証拠隠滅の恐れが低いと判断し、保釈OKの態勢だったが、借金20億円といわれる同被告には肝心の保証金がない。弁護人も「通らない保釈請求はやりたくない」と慎重な姿勢をみせていた中、小室被告にとって盟友的存在のエイベックスが手を挙げた。本紙の取材では、KEIKOと弁護人で半分近く、残りをエイベックスが立て替えた。
 小室被告はいまでは検事に「逮捕されてよかった」と晴れやかな表情で話し、「自分には音楽しかない。人生をリセットしたい。いま一度人生をやり直すチャンスを与えてほしい」と復帰に意欲を見せている。
 犯罪に至った経緯についても「ピークを2回経験したアーティストは自分しかいない。周りが誰も文句を言わない中、それに疑問を持ちながらも豪奢(ごうしゃ)な生活を続け、裸の王様になった」と客観視して説明。「これまでの音楽活動の中で“チャンス”という言葉を軽々しく使っていた。これからはその重みを認識して頑張りたい」とし、作風にも変化が出ることを示唆した。
 27日で50歳。弁護人から「東京に帰ったら帰ったで大変ですね」と声を掛けられると「そうだね」と答えた。量刑にも影響する5億円の被害金の弁済については、まだメドは立っていない。

 <エイベックス「また再起して…」>保釈保証金の一部を納付したことについてエイベックスの広報部は「逮捕される事態が生じたことは大変に遺憾だが、当社に多大なる貢献のあった小室氏のいまの状況は当社にとって大変忍びない」と説明。KEIKOと弁護士から申し入れがあったそうで「また再起していただくきっかけになればと思った」としている。

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2008年11月22日のニュース