山田洋次監督 亡き妻の母校で“追悼講演”

[ 2008年11月14日 06:00 ]

日本女子大でトークショーを行った山田洋次監督(右)、吉永小百合

 映画の山田洋次監督(77)が13日、8日に亡くなった妻よし恵さん(享年76)の母校、日本女子大(東京都文京区)で講演した。追悼ムードの中、監督作「母べえ」が上映。主演の吉永小百合(63)も駆けつけた。

 講演会は、よし恵さんが副会長を務めていた「平塚らいてうの記録映画を上映する会」が主催。年に1度、同所で女性に焦点を当てた映像作品を上映している。13日、スクリーンに映し出された「母べえ」は、よし恵さんが企画したもので「私が呼べば、(山田監督も)来てくれる」と楽しみにしていたという。
 会を目前に控えた8日、よし恵さんは7年間にわたるがんとの闘病の末、帰らぬ人に。山田監督は「病床の妻が苦しみながら“女子大には必ず行って”と言った。これは遺言なので行かないと怒られるだろうと思って来ました」と説明した。関係者によると、他所での講演会などはキャンセルしたものの、この日の会だけは出席。12日の葬儀・告別式から一夜明けたばかりで、少し疲れた表情ながら気丈に映画の製作秘話などを語った。
 小百合は、よし恵さんの通夜、葬儀には参列できなかったものの、会について知らされており「監督は来られないのではと思い参りました」と12日夜に急きょ、参加を決めた。よし恵さんが生前、小百合がライフワークとして取り組む原爆の詩の朗読に感銘を受けていたと聞かされ、「うんうん」とうなずいた。
 映画の上映前には、平塚らいてうを研究対象にし「教育と世界平和」を追究したよし恵さんの功績を称えて、同大出身の高野悦子岩波ホール総支配人(79)から花束が贈られた。山田監督は感慨深い表情で受け取り、200人を集めた同大成瀬記念講堂は追悼ムードであふれた。

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2008年11月14日のニュース