谷本知美 歌で日本とブラジルのかけ橋に

[ 2008年10月27日 18:49 ]

ブラジル日系人ら1200人の前で熱唱する谷本知美

 デビュー10周年を迎えた演歌歌手・谷本知美(34)が26日(日本時間27日)、ブラジル・サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会記念大講堂で日本人のブラジル移民100周年を記念したコンサートを開いた。

 日本からみて地球の裏側にあるブラジルで、両国の架け橋となる谷本の歌声が響き渡った。今年が日系移民100周年の年。これまで多くの行事が開催されてきたが、同公演がその最後を飾るイベント。初夏を迎えたサンパウロは、気温も35度を超えていたが、会場はそれに負けない熱気が渦巻いていた。
 日系人を中心に1200人が訪れ、立ち見客も出る中、最初に日本語と、出発前に勉強したポルトガル語の両国語であいさつ。最新曲「約束の駅」をはじめ、「汐風の駅」「北海育ち」などのオリジナル曲に加え、「少しでも故郷の日本を感じてほしい」と、「石狩挽歌」「津軽海峡冬景色」「天城越え」など日本の地名の入った昭和の名曲や美空ひばりメドレー、民謡、三味線の弾き語り、アカペラで「ふるさと」を観客と大合唱するなど多彩な演出で全22曲を熱唱。
 最後は、移民の人の心情を描いた移民100周年記念曲「緑の風よ あなたに届け」で締めくくり、現地の日系人たちを喜ばせた。
 今回のコンサート開催は、もともと環境問題に興味があった谷本が、熊本県で発足した「日本緑の会」を、関係者を通じて紹介されたことがきっかけ。ブラジルではアマゾン川流域などでの森林伐採で環境破壊が進んでおり、その現状をふまえ、移民100周年の年に現地に植林など緑化計画を推進する同会の趣旨に賛同。今回は「緑の大使」としても現地で活動した。
 植樹活動や老人ホームへの慰問。さらに移民した方々の家に行き、移民当初の苦労話などを聞いた。コンサートでも、その時のエピソードを話したが、最初は軽快な関西弁のトークも、現地の人たちが体験した苦労を思うと、自然と涙があふれ出た。
 彼女にとっては初めての海外公演。行く先々で「来てくれてありがとう」と歓迎を受けた。現地での活動では、サンパウロ市から感謝状が贈られた。
 現地での交流で多くのことを学び、「いままではドラマで見た世界で、移民の方のことは知りませんでした。でも実際にお会いして肌で感じることが多かった。本当に苦労されたんだと思うと、涙が出てきました。移民の方たちのお話やこちらでの経験を、今度は私が日本で伝えていかなければいけない。それが今後の私の役目。日本とブラジルの架け橋として頑張っていきたい」と話していた。
 来る11月8日に大阪メルパルクホール、同24日に東京・よみうりホールでデビュー10周年記念コンサートを行う。

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2008年10月27日のニュース