石坂浩二 市川監督宅へ涙の弔問

[ 2008年2月15日 06:00 ]

悲痛な表情で弔問に訪れた石坂浩二

 市川崑監督が肺炎のため92歳で亡くなって一夜明けた14日、「金田一耕助」シリーズをはじめ多くの市川作品に出演した石坂浩二(66)が東京都渋谷区にある監督の自宅を弔問した。無言のまま取材陣の前を通り過ぎたが、泣きはらした目が悲しみの大きさを物語っていた。一方、都内のホテルで15日に開催される第31回日本アカデミー授賞式の冒頭で監督を追悼することが急きょ決まった。

 悲報に触れた前日、「ご恩返しが何もできぬままに、こう突然にお別れしなければいけないのは、ひたすら悔しく悲しいばかりです」と文書でコメントを発表した石坂。居ても立ってもいられなかったのだろう。一夜明けて、午後6時20分過ぎに真理夫人(45)を伴って監督の自宅を訪れた。
 「金田一」シリーズ、「おはん」「細雪」「ビルマの竪琴」(85年版)など、市川監督が絶大な信頼を寄せた俳優の1人。安らかに眠る監督とはおよそ15分ほどの対面だったという。その間は、関係者も遠慮して席を外したそうだ。
 弔問を終えた石坂はうつむいたまま車に乗り込み、報道陣からの問いかけには無言を通した。眼鏡をかけていたが、その奥の眼は真っ赤だった。
 この日、午前中には女優の藤村志保(69)と樹木希林(65)がそろって弔問。最後の公開作「ユメ十夜」に出演したうじきつよし(50)も訪れ、「市川組の最後の問題児。“できるようになってから物を言え。芝居も技術を持ってからだ”と言われたことが僕のベースです」と声を震わせた。
 一方、日本アカデミー賞の授賞式では冒頭にステージ正面のモニターに追悼文を映し出し、オマージュをささげることが決まった。多大な貢献に感謝の気持ちを込めた内容になるという。市川監督は「細雪」(84年・第7回)、「おはん」(85年・8回)、「ビルマの竪琴」(86年・9回)、「竹取物語」(88年・11回)、そして「四十七人の刺客」(95年・18回)で優秀作品賞を受賞。監督、脚本も合わせれば計12個の賞に輝く常連で、他の映画賞に比べて歴史の浅いアカデミー賞の発展に寄与してきた。
 また、日時は未定だが、監督が愛した東宝スタジオ内で「お別れの会」を行うことで調整が始まった。思い出がぎっしり詰まった仕事場。桜の季節になりそうだ。

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2008年2月15日のニュース