2.1キャンプイン 長嶋さんが愛した宮崎ゆかりの地を紹介
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ミスターゆかりの地に、お邪魔します。巨人が1次キャンプを行う宮崎県には、昨年6月に89歳で死去した「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが選手、監督時代に通った地が多く存在する。2月1日のプロ野球キャンプインを前に、長嶋さんが太陽のような存在感で明るく照らした“聖地”の数々を巡った。(取材・構成 田中 健人)
≪霧島東神社 プライベートで何度も足運ぶ≫宮崎市街地から車で約1時間20分。最後は急勾配の山道を走ると、目に大きな鳥居が飛び込んできた。霧島連峰・高千穂峰の東側に鎮座する霧島東神社。巨人監督時代の長嶋さんが、プライベートでひそかに足を運んでいた神社だ。
境内に入ると、小鳥のさえずりが聞こえ、木漏れ日が柔らかく照らす。まさにパワースポットという雰囲気がある。長嶋さんは監督時代の97年の春季キャンプ期間中をはじめ、毎年11月に行われる例大祭に来た年もあったという。当時を知る宮司の黒木将浩さん(60)は「4、5回はいらしたと思います。例大祭は夜に何百人も来るんですが、長嶋さんがいらした時はパニックになっていましたね」と教えてくれた。
黒木さんが見たのは「ミスタープロ野球」ではなく、個人の「長嶋茂雄」だった。必勝祈願などではなく、神への感謝や祈願を伝える「正式参拝」を主な目的で訪れており「テレビで拝見する気さくな長嶋さんの面もありつつ、オーラがあって近寄り難かった。“監督”と言われている時と、(宮司だった)父と2人で話している時の顔はまた別で、素の長嶋さんという感じだった」と証言。参道の正面には、厳かな雰囲気を持つ本殿がたたずむ。熱心に神仏を敬っていた長嶋さんは、その本殿の中で何を願っていたのだろう。
およそ30年前だが、周囲の雄大な自然は大きく変わっていないはず。当時とほぼ同じ風景を見ると、長嶋さんが「ここにいた」という実感が湧く。黒木さんに市内のゆかりの地を巡っていると伝えると「いろんなところにふらっと行かれていたから、たくさんありますよね」。プロ野球の象徴だった長嶋さんの息吹は、宮崎で永久に残っていくだろう。
≪青島神社&宮崎神宮 休日も私服で訪れた≫ゆかりの地として外せないのは、青島神社と宮崎神宮だ。巨人は今もキャンプイン前日の1月31日に宮崎神宮、キャンプ初日の2月1日に青島神社を監督や主力選手が参拝する伝統が続く。宮崎神宮の禰宜(ねぎ)の石塚和也さん(53)は「長嶋さんは1月31日だけでなく、2月中のお休みの時にも私服で参拝にいらしていました」と懐かしがった。
青島神社敷地内にある「日向神話館」は00年に完成。当初から長嶋さんのろう人形がある。同年1月の必勝祈願にも立ち会った経験のある権禰宜の内窪文男さん(63)は「ゆかりの宮崎で、お出迎えをしていただこうと思った」と説明。監督時代の写真や絵馬とともに入り口付近にろう人形が設置されている。
≪「釜あげうどん 重乃井」 「店の中では本当に自由人」≫「ミスターが愛した味」として知られる名店が「釜あげうどん 重乃井」だ。創業60年以上の老舗で、長嶋さんは選手時代から足しげく通った。大盛りの釜揚げうどんといなり寿司3個が決まって注文する「ミスターセット」。当時を知る女将の伊予展子さん(75)は「店の中では本当に自由人。お客さんにも“サインいるならおいで”とか言っていました」と懐かしむ。
忘れられない出来事がある。2代目店主だった夫・史之さんが13年12月に66歳の若さで死去。04年に長嶋さんが脳梗塞を発症して以降、うどんを都内の自宅に送るなど交流は続いたが、来店することはなくなっていた。だが訃報を聞き、翌14年2月に宮崎キャンプの視察後に店を訪問。「若旦那」と呼んでいた史之さんを思い「ばかもん。何を考えているんだ。こんな若くして(展子さんを)1人残して」と怒ったのだ。
「怒っているけど、優しさにあふれていたし、目も赤かったように見えました」。この時が最後の来店になった。帰り際に「ずっと見ているからね」と声をかけられた。「毎年2月になれば長嶋さんを思い出すんだと思います」。店の味を守り続けることが、天国から優しく見守る長嶋さんへの恩返しになる。
≪「そばや 哲心」壁に特大サイン≫壁には豪快に書かれた特大サインがある。記されているのは「長嶋茂雄 94・2・25」。2度目の巨人監督就任後、春季キャンプ中に毎年訪れていたのが「そばや 哲心」。店主の小田哲也さん(71)は「最初はまさか来ていただけるとは思っていなかった。おしゃれだし、飾らない人柄で心遣いも凄い方でした」と振り返る。
当時は夜営業もしていた。長嶋さんはそばはもちろん、エビや野菜の天ぷらを好んだ。実は、最初の来店は「空振り」だったという。春季キャンプ中のある日、小田さんは「今夜、長嶋さんが来店する」と連絡を受けた。準備を進めたが、長嶋さんの事情によりその日の来店はかなわず。「朝から着るものは何にしようかと待っていたんです」と笑った。
天ぷらは現在メニューにはないが、たっぷりのパルミジャーノ・レッジャーノに卵黄を乗せた「醍醐蕎麦(だいごそば)」など工夫を凝らしたメニューをそろえる。長嶋さんが決まって座ったのは、5席あるカウンターで、両側から真ん中の「3」番目の席だ。
≪2日間かけるのがお勧め≫“聖地巡礼”には2日間に分けるのがお勧めだ。1日目は宮崎空港をスタート地点とすれば、まずは青島神社、青島グランドホテルを巡って市街地へ。「釜あげうどん 重乃井」か「そばや哲心」で食事をして、宮崎神宮に行きたい。霧島東神社は遠方のため2日目に出かけ、市街地に戻ってきたら、前日に行けなかった方の飲食店に入るのが良さそう。胃袋に自信があれば、はしごにチャレンジしてみては。
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