ドジャース・大谷が運んだ“55の幸運” 熾烈な争奪戦制した記念球の行方は

[ 2025年10月1日 01:30 ]

シーズン最終戦のマリナーズ戦で55号を放った大谷
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 ドジャース大谷翔平投手(31)は今季、昨年を1本上回る自己最多で球団新の55本塁打を放った。スタンドでそのアーチを目撃しただけでなく、熾烈(しれつ)な争奪戦を制してお宝ボールをゲットした幸運なファンたちは、みな笑顔の花を咲かせていた。今季最後の9月編の「Monthly Shohei」では、昨季に続きそんなファンたちを振り返り、その後を追った。(取材・柳原 直之)

 7月11日。大谷が敵地オラクル・パークでのジャイアンツ戦で3回に放った32号2ランは、日本選手初の右翼場外のマッコビー湾に飛び込む「スプラッシュヒット」となった。

 計20隻のカヤックによる大谷の記念球争奪戦は、郵便配達員のブラッドリー・レナーさん(34)が制した。本塁打球を捕った際は海に飛び込んで大喜びでガッツポーズを見せたが、気温15度とあって「最高の気分だけどめちゃくちゃ寒いよ」と震えながら歓喜。価値ある大谷の初スプラッシュヒットだけに「売る?自分でキープする?」という質問には「分からないよ」と苦笑いしていた。

 反響はすさまじかった。日本メディアだけでなく、スポーツ専門局ESPNをはじめテレビや新聞など米メディアでも大々的に報じられ、スマートフォンには数え切れないほどのメッセージや不在着信が入ったという。

 ガールフレンドのサラーさんには「大谷が海に打ち込む可能性があるから注目しておいて」と事前に予告していた。サラーさんがリプレー映像を映して大笑いする様子をTikTokに配信すると、動画再生数は約15万9000回を数えるほど話題となった。

 レナーさんは「家族、友人はもちろん、配達の仕事で会う顧客からも“あのキャッチ見たよ”と声をかけられ、“あのボールをどうするつもりなのか?”と聞かれるんだ」とうれしそうに語った。

 では、この記念球をどうするのか。レナーさんは「今はケースに入れて保管していて、鑑定できる人にいくつか電話をしているところだ」と説明。「もし可能であれば大谷にサインをもらいたいし、可能性はあると思う」と目を輝かせた。

 鑑定後に競売サイトに出品するのか、自宅で大切に保管するのか。節目の記念球だけに大谷本人が望めば返却されることもあるが、果たして――。ちなみに、レナーさんは既に来年4月21~23日(日本時間22~24日)のドジャース3連戦で有給休暇を取得。マッコビー湾で2本目の「スプラッシュヒット」を待ち受けるつもりだ。

 6月24日のロッキーズ戦で大谷が放った日米通算300号の27号2ランを、ソフトボール用のファーストミットでダイレクトキャッチして話題を呼んだのは、女子大生のエミリー・サバジュさん(21)だ。

 「本当に信じられない瞬間。人生の中でも一番楽しかった瞬間の一つ」。球場近くに住んでおり、家族はシーズンチケットを保有し、既に800試合以上を現地観戦している筋金入りのロ軍ファン。地元のアダムス州立大ソフトボール部では一塁手で大谷と同じ背番号「17」をつける。所属カンファレンスでは同大史上初のゴールドグラブ賞受賞歴もあり、将来の夢は大リーグ球団のGM。チームでは3、4番を任され、通算30本塁打以上という左打ちの強打者だ。大学1年時から打席の登場曲は、大谷が昨季使用したルーペ・フィアスコの「The Show Goes On」で大谷より前に選曲していた。偶然過ぎるほど運命的な本塁打キャッチだった。

 ただ、サバジュさんは当初、大谷の27号が日米300号だとは知らず、その価値も分かっていなかったという。「もうすぐ大学4年になるので、高校卒業を控えている17歳の弟ライアンとお金を山分けしたい。このお金は私たち2人の人生の次の章に向けての助けになる」と悩んだ末に記念球をオークションに出品することを決断した。期限日の8月16日に3万6935ドル(約540万円)で落札された。「望んでいた以上の大きな金額となり驚いているし、うれしい。家族とともにこの経験ができたことが最高だった。弟が山分けした大金を何に使うかは彼次第。私は投資に回したい」と喜びを口にした。

 サバジュさんはロ軍ファンだが、大谷ファンでもある。「私は大谷のプレーを見るのが大好き。彼がグラウンドでプレーすることで、野球はより良いものになる。彼が残りのキャリアで健康で居続けられることを心から願っている」とエールを送った。左打ちに背番号に登場曲――。いくつもの偶然の一致に野球の神様も驚いているかもしれない。

 ≪2度目“奇跡”の親子 再び母にプレゼント≫7月8日の敵地ブルワーズ戦で剛腕新人ミジオロウスキーから放った31号先頭打者本塁打球をゲットしたショーン・ボスマンさんと母・スーザンさん親子は、何と大谷の本塁打球をゲットするのは2度目だった。1度目は同じアメリカン・ファミリー・フィールドで行われた23年4月30日のエンゼルス―ブルワーズ戦で、大谷はエンゼルスに所属していた。“奇跡”の2球目にボスマンさんは「最初の本塁打球も母に渡したが、今回も母に渡したい」とご満悦。その後、2球とも自宅に保管しており「願わくば近いうちにまた翔平の本塁打を捕りたい」と意欲を見せた。

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