【甲子園】開星 継続試合目前のサヨナラ劇 野々村監督「人生の一番の旬があるとすれば、今日のあの瞬間」

[ 2025年8月7日 05:00 ]

第107回全国高校野球選手権第2日・1回戦   開星6―5宮崎商 ( 2025年8月6日    甲子園 )

<宮崎商・開星> 延長10回タイブレーク、前田がサヨナラの中犠飛を放ち、歓喜する開星・野々村監督(中央) (撮影・平嶋 理子)
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 1回戦4試合が行われ、開星(島根)が宮崎商(宮崎)に延長10回タイブレークの末にサヨナラ勝利を挙げ、11年以来14年ぶりに初戦を突破した。10回終了時点で同点なら甲子園大会史上初の継続試合となることが確実だった状況で、前田翔太(3年)がサヨナラの中犠飛を放って決着した。沖縄尚学(沖縄)は、先発・末吉良丞(2年)が金足農(秋田)相手に14三振を奪い、県勢初の「2桁奪三振&1―0完封」で勝利。仙台育英(宮城)は、鳥取城北(鳥取)に完勝した。

 緊迫の試合展開とともに、バックスクリーンにある時計の針にも注目が集まっていた。9回終了時点で午後1時23分を指していた。継続試合となる同45分まで残り22分――。開星が10回表を無失点で片付けて、10回裏が同29分に始まる。同30分以降は新たなイニングに入らないため、継続試合を避けるには10回裏で試合を決めるしかない状況だった。

 甲子園大会史上初の継続試合が目前に迫る中、選手の心境は三者三様だった。主将の藤江来斗は「継続試合なら新たなスタートになるだけ。焦る必要はない」。一方、10回を無失点に抑えた持田聖純は「時間(午後1時30分)を超えたとかは分からなくて…」と11回の登板準備をしようとしていた。そして、10回無死満塁で初打席を迎えた前田は「自分のことで、いっぱいいっぱい」と集中力を高めていた。継続試合が12分後に迫った午後1時33分――。4球目の外角スライダーに手を伸ばして中堅へ飛球を飛ばし、サヨナラ犠飛で試合を決着させた。

 今大会から採用された、一日4試合日での朝夕2部制の初日だった。14年ぶりに甲子園で采配を振るった野々村直通監督は開口一番「だんだん(出雲弁でありがとう)」と言うと続けた。「(継続試合は)おかしいやろって。1時29分と30分でどれだけ違うん。応援団はまた来るの?」。とはいえ、10回裏の先頭打者にバントエンドラン(記録は失策)を成功させ、きっちりと時間内で終わらせる布石も打っていた。

 昨夏8強入りの大社に続く島根勢2年連続の劇勝だ。73歳の野々村監督は言った。「人生の一番の旬があるとすれば、今日のあの瞬間」。タイブレーク、継続試合――。変わりゆく時代の中で、変わらないドラマに浸った。(河合 洋介)

 《タイブレークサヨナラ勝利》
 ◯…開星が延長10回タイブレークで宮崎商にサヨナラ勝ち。タイブレークによるサヨナラ勝ちは18年に制度導入(22年夏までは13回から)以降、夏の甲子園大会9度目。島根勢は昨夏3回戦・早実戦の大社に続き、2度目。夏の大会での同一県勢2度は初。春は報徳学園(兵庫)が23、24年で計3度記録している。

 ▽夏の甲子園2部制の時間制限
 午前と夕方の2部制を行う第2、3、5、6日の各部の終了時刻は6月の臨時運営委員会で決定。午前の部の第2試合は午後1時30分を過ぎて新たなイニングに入らず、同45分で打ち切り、夕方の部は午後10時を過ぎて新たなイニングに入らない。いずれも試合が終了していなければ継続試合となる。

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