【内田雅也の追球】「普通」「一丸」の逆転

[ 2025年7月11日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神6―3広島 ( 2025年7月10日    マツダ )

<広・神>ナインをハイタッチで迎える藤川監督(中央)(撮影・椎名 航)
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 先行逃げ切りが勝ちパターンの阪神にしては珍しい終盤の逆転勝利だった。6回終了ビハインド時は過去3勝17敗だった。さらに先制後、逆転された試合は過去14戦全敗。交流戦で相次いだ逆転負けを思う。再逆転での勝利は今季初である。

試合結果

 1―3と逆転された直後、7回表の再逆転だった。相手の自滅(3四球や拙守)もあるが、勝つ味を知る選手たちが役割を全うしていた。

 先頭の豊田寛が粘ってフルカウントから四球で出た。代打・前川右京が内野安打でつなぎ、坂本誠志郎は確実に送った。代打・糸原健斗が中犠飛をあげて1点差とした。

 豊田、前川、糸原ら控え選手の働きに監督・藤川球児は「おなかをすかしている、今の状態に満足していない選手たち」とたたえた。首位快走の好機運に控え選手たちも乗り遅れまいとして、チーム一丸となっている。

 上位に回り、近本四球の後、中野拓夢が左前適時打して同点。森下翔太、佐藤輝明が連続二塁打して3点を勝ち越したのだった。3本の適時打はすべて左腕から反対方向に打ったものだった。

 これで11連勝。一昨年9月に負け知らずで優勝決定まで突っ走った時以来の11連勝である。

 あの勝ちまくっていた当時、監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)はよく「普通にやるだけ」と話していた。「選手たちがそれぞれ役割を果たしてくれている。こっちは普通にやっているだけなのに、相手が勝手に転んでくれる」

 今も全く同じことが言える。この連勝中も阪神は特別なことをしているわけではなく、普通に試合を進めている。相手がミスして、負けていってくれるのだ。

 交流戦明け、リーグ内対戦に戻ってから独走態勢が強まり、今や2位と9・5ゲーム差と開いた。リーグの貯金を独占し、他5チームは借金を抱える。異常事態である。

 一昨年も8月には独走状態だった。あの当時、岡田が話していたのは「普通にやればいい。あとは変な負け方さえしなかったらいい」だった。

 今も「どう勝つか」より、むしろ「いかに負けるか」が課題だろう。無謀や慢心、油断に注意を払っていれば、おのずとゴールは近づいてくる。

 球場から引き揚げるバスを満月の光が照らしていた。 =敬称略=
 (編集委員)

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