【内田雅也の追球】反省するための「なぜ?」

[ 2025年6月16日 08:00 ]

交流戦   阪神2-3楽天 ( 2025年6月15日    楽天モバイル )

<楽・神(3)>延長11回、佐藤輝は中越え本塁打を確信するも越えず、中前打をなってしまい、静まりかえる阪神ベンチ (撮影・平嶋 理子)
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 連日の延長戦サヨナラ負けで連敗は6に伸びた。連敗が長引き、多くの選手たちは下を向いてバスまで歩いた。こんな時は頭を高く上げ、前を向きたい。「ヘッズアップ」である。

 そのためにはまず、反省点を洗い出すことだ。

 佐藤輝明に凡走があった。延長11回表先頭、中堅右への大飛球を放った際、いわゆる「確信歩き」で走り出さなかった。本塁打と早合点した打球はフェンス直撃。あわてて走ったが二塁打の当たりが単打止まりだった。

 「凡事徹底」をテーマに掲げ、「当たり前のことを当たり前にやる」と誓っていたはずのチームに、このところ慢心や油断と見てとれる凡プレーが散見される。

 これも佐藤輝だが、12日の西武戦で満塁機に一塁けん制死を喫している。前日14日は浅い中飛で油断したのか、三塁走者の生還を許した。

 この日も打者有利のカウントでボール球をむちゃ振りする打者が何人かいた。前日の自打球の影響で指名打者(DH)での出場となった森下翔太は6打数無安打。強引に引っ張るスイングが目につき、凡ゴロ5本に最後は捕邪飛で天を仰いだ。

 これらは心の問題である。試合に臨む姿勢がどこか間違っているのだ。

 スポーツ心理学の権威で大リーグ数球団を指導したケン・ラビザが目指すのは「ヘッズアップ・ベースボール」だと言う。トム・ヘンソンとの共著『大リーグのメンタルトレーニング 第2版』(ベースボール・マガジン社)にある。

 <最初の課題はそもそもなぜ野球をするのか明確にすること>とある。<最初は野球が好きでやっていても、真剣になるにつれ、その気持ちがわからなくなってしまうことがよくあります>。そうなると<試合はストレスの原因>となる。

 「なぜ?」と自らに問い続ければ、日が暮れるまでボールを追い続けた少年時代に行きつくのではないか。

 戦後、「青バット」で虹のようなアーチをかけた大下弘は日記『球道徒然草』に記している。<「大人になると子供と遊ぶのが馬鹿らしくなる」と人は言うかもしれないが私はそうは思わない><子供の世界に立ち入って、自分も童心にかえり夢の続きを見たい>。

 選手たちが最初に野球と出会ったのは父親とのキャッチボールだろう。この日は父の日だった。原点に返り、初心を思う日だった。 =敬称略=
 (編集委員)

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