阪神珍記録 60年ぶり「適時失策による巨人戦0―1敗戦」 初回エラー取り返せない散発3安打

[ 2024年8月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神0ー1巨人 ( 2024年8月12日    東京D )

<巨・神> 4回、門脇に打球を好捕され、悔しそうな表情を見せる阪神・森下 (撮影・須田 麻祐子)
Photo By スポニチ

 阪神は12日の巨人戦で散発3安打に封じられ、0―1で今季15度目の零敗を喫した。現状のクリーンアップが固定された7月19日広島戦以降19試合目で初めて中軸3人が無安打に終わり、初回の佐藤輝明内野手(25)の適時失策が最後まで響いた。首位・広島に今季最大4ゲーム差に広げられ、今季初めて自力優勝の可能性が消滅。とはいえ、優勝の可能性が完全に消えたわけではない。森下翔太外野手(23)が「自分たちの試合をやって勝てばいい」と話したように、一戦必勝で巻き返すのみだ。

 たったワンプレーが命取りになった。初回2死二塁、岡本和の三塁線を襲う打球を好捕した佐藤輝が一塁へワンバウンド送球。タイミングはアウトだったが、中途半端な位置ではずみ、大山が後ろにそらした。二塁走者が生還。試合を通じて失点はこれだけ。適時失策による巨人戦「0―1敗戦」は64年9月3日(甲子園)以来60年ぶり。岡田監督は「なあ、そんなもん分かってるやんか。勝敗って、その1点やないか」と淡々と分岐点を振り返った。

 ミスと呼ぶには少し酷な今季19個目の失策を犯した佐藤輝は「しっかり投げられなかった」と悔やんだ。大山も「低く投げてくれる以上はなんとかしないといけない。結局、あれが勝敗に結びついてしまった。本当に申し訳ない。チームにも、西(勇)さんにも、輝にも申し訳ない」と責任を背負い込んだ。

 ただし、まだ初回の出来事。前半戦の貧打を脱した打線ならば、残り8イニングの攻撃で取り返せるはずだった。しかし中5日で向かってきた山崎伊の丁寧な投球の前に、安打が出ない。指揮官が「そうでもなかったんちゃう。飛ばしていたけどな」と首をかしげたほど、手こずった。

 ようやく得点圏の二塁に走者が進んだのは山崎伊が降板後の8回2死。3者連続代打の3人目で登場した島田が二塁打を放った場面のみだった。終盤に小刻みな継投にも遭い、わずか3安打で今季15度目の零敗を喫した。点が入りやすいはずの東京ドームでの「0―1敗戦」は20年8月18日以来となった。

 最大の誤算は、7月19日広島戦から固定された森下、佐藤輝、大山の3、4、5番トリオが結成19試合目で初めて無安打に終わったことだった。森下は痛烈な当たりが遊直になる不運もあった。佐藤輝は今季最長の3試合連続無安打。球宴明けの戦いを引っ張ってきた中軸3人が沈黙し、初回の“たった1点”が重くのしかかった。

 今季初めて自力優勝の可能性が消滅。今後の勝敗次第で復活するものとはいえ、負の材料である事実は変わらない。ただし、下を向く暇はない。森下は言った。「自分たちの試合をやって勝てばいいので。他の球団のことは意識していないですね」。虎口を脱するためには、目の前の敵を打つしかない。それが連覇を狙う猛虎の流儀だ。(倉世古 洋平)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

野球の2024年8月13日のニュース