日本航空石川 帽子のつばに書きこんだ合言葉…被災地に思いよ届け

[ 2024年3月15日 06:00 ]

駆け出す日本航空石川ナイン(撮影・平嶋 理子) 
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 第96回選抜高校野球大会(18日から13日間・甲子園)の出場校による甲子園練習は14日に最終の2日目を迎え、16校が参加した。元日に能登半島地震で被災し、系列校のある山梨県に練習拠点を移した日本航空石川(石川)は30分間の練習で聖地を踏みしめ、「笑顔 感謝 恩返し」の合言葉を全員で共有した。

 能登半島地震の被災地代表が甲子園のグラウンドに立った。日本航空石川は30分間の甲子園練習できびきびと動き、中村隆監督は「みんな緊張していて表情が硬かった」と振り返った。内野ノック、打撃練習、5人の投手がマウンドから投げる投球練習までに25分を費やし、残り5分はグラウンド整備にあてた。

 合言葉は決まっている。「笑顔 感謝 恩返し 石川県のために 共にがんばろう石川」。13日に全員が帽子のつばに書き込んだ。1月中旬から系列校の日本航空(山梨)に拠点を移して練習。このスローガンも山梨でのミーティングで決めた。

(報告「両親泣いていた」/) 背番号19の福森誠也投手(3年)は唯一の石川県出身者だ。元日は輪島市の祖母宅で被災。「私を置いて先に出なさい」という祖母を助け出して一緒に逃げた。「ばあちゃんの体の上にはいろんな物が乗っていて、もう立てない状況だった。とっさに体が動いて助けた」。選抜で初めてメンバー入りしたことは電話で報告した。

 「両親は泣いていた。今まで応援してくれていたので、少し恩返しできれば…。ばあちゃんも来るって言っていた」

 輪島の朝市に出店していた祖母は七尾市で避難所生活中。1回戦では最後となる第6日の第1試合で迎える常総学院(茨城)との初戦には甲子園に駆けつけるという。「(被災地が)まだいつもの生活に戻っていないのは現実。自分たちが一生懸命、全力で頑張ることで何か届けられれば…」と心待ちにした。(千田 篤史)

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