“東京元年”Hondaが8回コールド圧倒V MVP左腕・中村伊「お母さん、やったよ」感謝の6回無失点

[ 2024年3月15日 04:45 ]

第78回JABA東京スポニチ大会最終日決勝   Honda7-0日本通運 ( 2024年3月14日    神宮 )

<Honda・日本通運>胴上げされる多幡雄一監督(中央)(撮影・大城 有生希)
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 準決勝、決勝が14日、神宮球場で行われた。Hondaは決勝で日本通運を8回コールドの7―0で下し、6年ぶり3度目の優勝。今年の日本選手権出場権を獲得した。OBで今季から指揮を執る多幡雄一監督(41)は今年初の大会でいきなり頂点に立った。決勝に先発した最速148キロ左腕・中村伊吹投手(26)は6回を5安打無失点。勝利投手となり、大会MVPに輝いた。

 勝負どころと察して、ギアを上げた。3点リードの6回2死一、二塁。この試合、初めて走者を2人背負った中村伊は、相手4番・田中を追い込むと、覚悟を決めてサインにうなずいた。右打者へ食い込む内角スライダーで、狙い通りに空振り三振。何度も雄叫びを上げたMVP左腕は、「むちゃくちゃうれしいです。声は思わず出ちゃいましたね」と少し照れくさそうに胸を張った。

 女手一つで育ててくれた母・恵美さんへ、感謝を込めた99球でもあった。家庭の事情で小学校入学前から母と2人暮らし。大学時代は親元を離れても支えてくれた。「道具などたくさん買ってもらってありがたい。これからも誕生日とかで親孝行したいです」。社会人になっても、試合結果などはこまめに見てくれているという。「今日は自分から“お母さん、やったよ”と伝えたいですね」と笑顔がはじけた。

 Hondaにとっては“東京元年”となるシーズンで、最高のスタートを切ることができた。今季から所属が埼玉から東京へ変更。5月から始まる都市対抗2次予選では初の東京代表を目指す。今大会、公式戦初采配で優勝まで導いた多幡監督は「本当にうれしい。でも予選はすぐに始まる。そこに向けて準備していきたい」と気を引き締めた。

 チームの目標はあくまでも日本一。投手陣は3年目を迎えたエースの岡野ら、力のある後輩たちも擁している。「自分はどんな場面からでも絶対に抑えられると思われる存在でいたい」と決意を示した中村伊。今大会は先発、中継ぎとしてフル回転し3試合計12回無失点。投手陣の兄貴分的な26歳の左腕が、特別な一年に新たな歴史をもたらしてみせる。(村井 樹)

 ◇中村 伊吹(なかむら・いぶき)1997年(平9)11月16日生まれ、福岡県出身の26歳。花尾小1年からソフトボールを始め、花尾中時代は軟式野球部に所属。星琳(福岡)を経て白鴎大へ進み、1年秋にリーグ戦デビュー。3年春の全日本大学野球選手権では8強進出に貢献。最速148キロ。1メートル79、68キロ。左投げ左打ち。

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