【甲子園】「気愛」の神村学園 県勢17年ぶり夏4強 正林は兄を超える活躍「勝って恩返しがしたい」

[ 2023年8月20日 05:05 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第12日準々決勝   神村学園6-0おかやま山陽 ( 2023年8月19日    甲子園 )

<おかやま山陽・神村学園>8回、正林は均衡を破る先制適時打を放ち、ガッツポーズで吠える(撮影・椎名 航)
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 止まっていた針を再び動かしたのは、神村学園の2年生4番、正林輝大(しょうばやし・こうだい)のバットだった。0―0の8回1死一、三塁で初球を捉えて右前への先制適時打。この一打が打線に勢いをつけ一挙5得点。県勢として17年ぶり、チームを夏初のベスト4に導き「本当にうれしい」と笑みを浮かべた。

 背中を追い続けている人がいる。12歳上の兄・大樹さんだ。10年夏の甲子園に長崎日大の背番号17でベンチ入り。プレーすることはかなわなかったが、卒業後は社会人のHonda熊本で5年間プレーし、現在はマネジャーを務めている。アルプス席から観戦した大樹さんは「大会前に(弟は)兄貴に負けないと言っていたんですけど、見事に抜かれちゃいました」と目を細めた。帰省した際はアドバイスを送ることもあり、正林は「いつもサポートしてくれる。勝って恩返しがしたい」と誓った。

 今年のスローガンは気合の造語の「気愛」。小田大介監督は「愛っていうのは信じ、待つ、許すこと。愛は奇跡を信じる力と思っていて、愛がなければ奇跡も起きないし、信じることもできない」と力説する。「信じ、待つ、許す」はTBS系ドラマで山下真司主演の「スクール☆ウォーズ」から感銘を受けてのもので「あれぐらい熱く生徒と向き合っていきたい」と力を込めた。

 選手にも思いは伝わっている。正林は「みんなで(監督を)日本一にしたい思いがある」と気合十分だ。あす21日の準決勝は連覇を目指す仙台育英。相手に不足はない。 (杉浦 友樹)

《救援捕手 松尾大が二塁打》
 ○…2回2死二塁からリリーフ捕手として出場した松尾大悟(3年)が零封リレーに貢献。「ピッチャーとも信頼してやっているので、きっちり抑えられたと思います」と話した。打っては8回2死満塁から3点二塁打を放った。1月末に肺炎に罹患。咳が止まらず発熱して一時は41度になったことも。完全にカムバックしたのは鹿児島大会前のことで、苦難を乗り越えた背番号2が大舞台で躍動した。

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