阪神・大山も「ミスタータイガース」だ!5年連続60打点、生え抜きでは藤村、田淵、掛布に続き38年ぶり

[ 2023年8月20日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神6-2DeNA ( 2023年8月19日    横浜 )

<D・神>9回、右本塁打を放った大山(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 阪神は19日のDeNA戦に6―2で逆転勝ちし、優勝マジックを1つ減らして「27」とした。殊勲者は不動の4番・大山悠輔内野手(28)だ。6回1死三塁で決勝の中犠飛を放ち、今季の勝利打点をチーム断トツの「12」とするとともに、球団生え抜きでは1985年掛布雅之以来38年ぶり4人目となる5年連続60打点以上をクリア。9回にはダメ押しの右越え14号ソロも放った主砲のバットが、頂点へのカウントダウンをまた1つ進めた。

 たった1球で試合の流れを引き寄せた。6回だ。1死二塁から小野寺の右越え適時三塁打で同点に追いついた直後、上茶谷の内に入ってきた甘めのスライダーを振り抜き、中堅へ飛球を打ち上げた。三塁から小野寺が生還し、勝ち越し。仮に凡退していれば…。青い大歓声に包まれる敵地が舞台だっただけに、勝利への歩みは遅くなっていただろう。

 「初回のチャンスをつぶしていたので、何とか“勝ち越し”というところを考えていた。目の前で(小野寺)暖が勢いを付けてくれた。しっかり準備して打席に入れた」

 絶好の先制機だった初回1死一、三塁で、先発・石田の前に三ゴロ併殺打に斬られた借りを、ここぞの場面で返した。値千金の1打点で、19年から5年連続60打点をクリア。球団生え抜きでは藤村富美男、田淵幸一、掛布雅之に続き、38年ぶり4人目となった。みな「ミスタータイガース」の代名詞を背負ってきた生粋のスラッガー。その系譜に、令和の猛虎が誇る4番が確かに名を連ねてみせた。

 「この球場は何点あってもわからない。その後に追加点を取れたのはチームのみんなのおかげだし、投手も楽になれたと思う。明日もしっかり勝てるようにやっていく」

 9回には左腕・エスコバーの153キロツーシームを右翼ポール際へ叩き込んだ。今季14本目で、同初の「右方向弾」。本人は意に介していないが、剛球に振り負けずスタンドまで届かせたことに意義がある。カード勝ち越しを期すきょう20日の3戦目へつながる、鮮やかなアーチだった。

 前日18日の初戦は、9回1死からの熊谷の二盗の判定を巡り岡田監督が猛抗議に出た。精神的に揺らいでも、何ら不思議はなかったこの夜。だが大山は「昨日は昨日。僕らがどうこう言うことでもない」。泰然自若の28歳。猛虎の屋台骨はそう簡単には揺らがない。

 「また明日もいい準備をして臨みたい」

 大山が今季挙げた「12」の勝利打点のうち、3分の1に当たる「4」がDeNA戦での一撃だ。昨季9勝16敗と打ちのめされた相手に、今季は目下12勝7敗。シーズン勝ち越しも目の前ながら、これも頂上への通過点。秋に広がるであろう歓喜の輪の中でこそ、大山は心から喜べる。(八木 勇磨)

【データ】
 ○…大山(神)が6回に決勝の中犠飛を放ち、5年連続で60打点に到達。球団では藤村富美男の10年連続を筆頭に6人目で、生え抜きでは81~85年の掛布雅之以来。
 ○…大山の7犠飛はセ単独最多。犠飛の球団記録は、2005年今岡誠まで7人がマークした9で、更新の期待が懸かる。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年8月20日のニュース