仙台育英・須江監督「青春って密」から1年 甲子園夏連覇へ「身の丈にあった野球で挑むだけ」
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第105回全国高校野球選手権で連覇を目指す仙台育英(宮城)・須江航監督(40)が、スポニチ本紙の取材に応じた。昨夏、春夏通じて東北勢初の甲子園制覇。優勝インタビューで発した「青春って、すごく密なので」は社会現象にもなった。4年ぶりに声出し応援が解禁となった地方大会を勝ち上がって「2度目の初優勝」と表現する戦いへの思いと、高校野球について語った。(聞き手・柳内 遼平)
――連覇の懸かる舞台に戻る。
「優勝旗をみんなで返しにいくことを、とても大事に思っていました。一発勝負の大会を勝ちきるのはとても難しいこと。それができてよかった。まず一つのスタートラインに立てた。100年に一回限りの出来事じゃなくて、去年のことが来年以降にいろいろな意味でつながっていくにはまずは出場が大事と考えていました」
――優勝後の1年は。
「本当に街中で、たくさんの人に声をかけてもらうようになりました。“おめでとう”より“ありがとう”と。やっぱりその声に応えたいな、というふうに私も選手も思いました。監督としてプレッシャーに感じることはありませんでしたが、選手はまだ子供なので難しかったと思います。スーパーで歩いていたら“監督、頼むよ!”とか“2連覇してね!”と声を頂くことがある。おつかいに行くみたいに“牛乳買ってきてね!”ってくらいの感じ。“そんなに簡単にはいきませんよ”と僕は大人だから笑って答えられるけれど、子供たちにはそれなりにプレッシャーがあったと思う。だけどこの1年で“浮ついているな”とか“現実が見えていない”とか選手にそういう指導をしたことがなくて、それが素晴らしいです」
――昨夏のチームと比べることは。
「選手はこの1年、目指していた進捗(しんちょく)スピードに対して、早過ぎることも遅過ぎることもなく、進んできました。これはリスペクトしています。また選手や運営のマネジメントは過去と比較はしないようにしています。比較するとお互いにストレスになる。“去年の子はできたのに”や“去年の子はこの時期には”というふうに一回も比較することはなかったです」
――夏の大会前、選手にはどんな声を。
「毎年、同じ話をします。大会初戦の前日には“グッドルーザー”であれ”と。終わった時に感情で行動することはやめよう、理性をちゃんと持って勝敗を受け入れ、相手を称え、そこから次のスタートを切ろうと。その覚悟をして球場に行こうってね。始まったら必ず終わりが来る。甲子園を優勝して終わることなんて可能性としては限りなく低い。明日終わるかもしれない中、これまでの日々とか相手に対する敬意、簡単に言うと理性と知性を保って終わってほしい、と」
――コロナ下の規制が徐々に解除。地方大会も4年ぶりに声援が戻った。
「応援が戻ってきたことによって、いろいろなものが大きく変わりましたね。やっぱり声って感情表現だから。かけている思いとか、人を応援したいとか、一番の感情表現。一番、思いが伝わるのって言葉とか声。それが解禁されて、球場を渦巻いていく雰囲気も大きく変わりました。“何かやってくれるんじゃないか”という期待感とか、そういうのが明らかに変わりました。やっぱり(高校野球は)総合作品でみんなの高校野球。応援席、球場のお客さんも含めて試合が出来上がっているんだなと感じました」
――全国の地方大会では応援団による「盛り上がりが足りないっ!」のコールが大流行した。
「より楽しみたいとか、より盛り上がりたいとか、欲求の爆発だと感じています。コロナ禍から完全には戻ってはいないけど、一部は戻ってきている。エネルギーの濃縮度みたいなのは凄いなと。“できなかったことを全部やってやる”“この夏はできなかったことを全部やろうよ”みたいなものは感じる。このかけ声が、はやっていることが、そのまま答えではないでしょうか。“もっと盛り上がりたい”って、ずっとそれをしたかったから。心の声です。ストレートなフレーズがみんなの心に刺さっているのでしょう」
――今大会の東北勢は。
「チャンスがあると思います。八戸学院光星さんは優勝候補だと思いますし、日大山形さんはピッチャーも良く総合力が高い。聖光学院さんは試合巧者で、土壇場でとんでもない根性を出します。ノースアジア大明桜さんも攻守にバランスが高いですし、花巻東さんは(佐々木)麟太郎くんを筆頭に攻撃力があります。全国では波乱もありましたが、東北勢は実力のある学校がそろったのでは。力があるだけに(組み合わせの)上の方まで絶対に東北勢同士で当たりませんように、心から願っています」
――佐々木麟の印象は。
「凄い選手です。下級生からあれだけ注目されていて、ケガもありながらこれだけ結果も出して頑張っている選手はいない。3年間の苦労や葛藤は彼にしか分からない。(父・洋監督とともに父子鷹で)最後に甲子園の切符をつかんで本当に尊いですね。自分の息子だったら、もう抱きしめてあげたいです」
――最後に優勝候補にも挙がる今大会への意気込みを。
「選抜前にはウチは10番目くらいと言いました。今回も代表校の映像を見ましたが、謙遜ではなく今回も同じくらいか良くても8番目くらいの実力かと思います。連覇を期待する声や高い評価が聞こえてきますが、少し過大評価かと。昨年もそうでしたが、等身大の身の丈にあった野球で挑むだけです。準備と取り組みをして結果は後からついてくるので、一試合ずつ丁寧に戦います。人が代わりますから毎年、初優勝!と考えています。気づいたら2度目の初優勝!が目標。しかし100年に一度の出来事ですから、そんな簡単にはいきません。どうなるか。東北の皆さんと一緒に楽しめたら幸せです」
▽盛り上がりが足りない 今夏の高校野球地方大会で「盛り上がりが足りない」の応援コールが大流行した。太鼓のリズムに合わせて「もっ!もりっ!もりあっ!盛り上がりが足りないっ!」と応援団、生徒、吹奏楽部員らが声を合わせて繰り返し叫ぶスタイル。「元祖」は高校サッカー強豪校の応援とされるが、SNSを通して全国各地に広まった。また、全国高校総体のバスケットボール競技の会場でも多くのチームが応援に取り入れている。
▽仙台育英の22年夏の甲子園優勝 初戦となった2回戦・鳥取商では5投手の完封リレーで10―0。3回戦で明秀学園日立(茨城)に競り勝つと愛工大名電(愛知)との準々決勝、東北勢対決となった聖光学院(福島)との準決勝も勝利。下関国際(山口)との決勝は岩崎生弥の満塁弾などで8―1で東北勢初優勝を飾った=写真。須江監督は優勝インタビューでコロナ下で学生生活の大半が制限された全国の高校生を思いやり「青春って、すごく密なので」と語り涙。また、今春の選抜では準々決勝で報徳学園(兵庫)に敗れた。
≪須江監督が実感 戦力の地域差「なくなった」≫昨夏の仙台育英が東北勢として春夏通じて初めて甲子園大会で優勝したのに続き、今春の選抜では山梨学院が県勢初の甲子園優勝を飾った。須江監督も「着実に地域差がなくなったと思います。さまざまなSNSの発達によって、より高い知識を地域関係なく得られるようになった」と実感。「東京で行われたことでも九州でも東北でも数秒後には共有できるようになりました」と分析した。
≪東北勢6校実力校ぞろい≫須江監督が指摘した東北勢6校は、いずれも春夏の甲子園でベスト4以上の経験がある実力校がそろった。八戸学院光星(青森)は春夏ともに準優勝経験があり、今年は強打のチーム。花巻東(岩手)も春の準優勝経験がある。須江監督は昨夏の甲子園優勝の際に「東北の全ての人たちの勝利」としていたが、今夏も東北勢の躍進に期待がかかる。
【取材後記】須江監督への取材では時間を忘れてしまう。記者として、人として聞きたいことが次から次へと湧いてくる。
高校野球界では誰もが知る東北の名将。実は筋金入りのサッカーファン。昨年末にインタビューした際にはW杯でドイツ、スペインを破った森保ジャパンの話題に花が咲いた。そのためか、取材の「アディショナルタイム」にも寛容である。昨夏、甲子園優勝直後に行った独占インタビューでは30分の予定が、何度も「あと一問!」を繰り返し90分に拡大。今回の取材でも約60分の想定がまたしても90分に。それでも「せっかく東京から来ていただいているので」と嫌な顔ひとつしない。
須江監督に現在の目標を問うと「名前のない感情を言葉にしたい」。言葉で選手を導く指導スタイルを象徴する言葉だった。この夏、甲子園で最後の試合を終えた時、自らの感情をどう表現するか、一番近くでペンを走らせたい。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)
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