福島出身の楽天ドラ4位・伊藤茉央 マー君にあこがれた少年が東北を照らす存在に

[ 2023年1月23日 05:30 ]

キャッチボールをする伊藤茉(撮影・光山 貴大)
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 【23年度球界新士録(7)】新たな「みちのく戦士」が誕生した。福島県喜多方市出身の楽天ドラフト4位指名・伊藤茉央投手にとって楽天は野球人生のルーツそのものだ。「子供のころに何度も仙台の球場に行きました。田中将大選手や岩隈久志選手が好きでした」。応援タオルを手に声をからしていた少年がプロの扉を開け「夢のようです。今まで夢や希望を与えてもらっていたので今度は自分が与える側になる」と目を輝かせる。

 2歳上の兄・爽さんの背中を追い高校は地元の喜多方に進学した。冬場は積雪でグラウンドが使えない厳しい環境が伊藤茉を成長させた。大学はさらに北へ。グラウンドが使えない分、走り込みや筋力トレーニングといった練習のおかげで入学時に130キロ台だった球速は148キロに。1年時から全国大会を経験し、プロが注目する投手にまで成長した。

 年始に実家のテレビで見ていた箱根駅伝。東洋大で復路10区を走った清野(4年)は同じ喜多方の同学年で「あっちは高校の時から有名な選手でした。箱根の舞台を走るのは凄いこと。頑張っている姿に刺激をもらっています」と言う。伊藤茉や清野の存在は喜多方の人たちにとって大きな希望となっている。

 中学1年だった13年に楽天は球団創設初のリーグ優勝と日本一を達成した。その中心にいたのが絶対的なエースだった田中将。無傷の24連勝で東北に歓喜をもたらす姿に心を震わせた、かつての少年は「“伊藤茉央が投げれば安心”と思ってもらえる投手になりたい」と青写真を描く。東北の象徴になるための一歩目を、今まさに踏み出そうとしている。(重光 晋太郎)

 ◇伊藤 茉央(いとう・まお)2000年(平12)11月19日生まれ、福島県出身の22歳。小学3年から塩川ブルーファイアーズで野球を始め、塩川中では軟式野球部に所属。喜多方では1年春からベンチ入りし2年夏からエース。東農大北海道オホーツクでは1年の全日本選手権で4強入りに貢献。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、シンカー。好物は喜多方ラーメン。1メートル76、80キロ。右投げ左打ち。

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