トヨタ自動車・河合完治が現役引退 引退試合に「本当に感謝。フルスイングできて良かった」今後は社業に

[ 2022年11月19日 13:19 ]

トヨタ自動車・河合完治

 トヨタ自動車の河合完治内野手(30)が今季限りで現役を引退する。14日、愛知県野球連盟会長杯のジェイプロジェクト戦が引退試合となり、22年間に及んだ選手生活に別れを告げた。

 「ここ2、3年はなるべく悔いを少なくして、ユニホームを脱げるようにしようと、一日、一日を全力で過ごしてきました。若い選手が経験を積む試合で2打席も立たせてもらって本当に感謝していますし、最後にフルスイングできたことは良かったです」

 生涯最後の真剣勝負となったのは第2打席。難しい内角低め直球に詰まったが、白球は左前で弾んだ。この瞬間、一塁ベンチだけでなく、観戦に訪れていたファンも大盛り上がり。誰からも慕われ、謙虚で、実直で、ひたむきな人柄を象徴する光景だった。

 「今でも朝早く目は覚めます。どこか寂しい感じもありますが…。良いことも悪いことも、全てを受け入れて、腐らずやる。そんな野球人生だったと思います。野球を通じていろんな方と出会い、いろんな経験をさせてもらったことは僕の財産。後輩には、野球そのものが大事なのでなく、野球をすることで大切なことをたくさん学べるんだ、ということを伝えていきたい」

 9年目の今季は4月のJABA静岡大会で、左肩脱臼という大けがを負った。術後の1カ月は患部を固定。野球はおろか、日常生活にも支障をきたした。「さすがに、今回は元へ戻るのは難しい」という思いが何度も頭をよぎったが、妻・有里さんやチームスタッフが懸命にサポート。何より、河合自身が通常なら1時間程度しか組めないメニューを最長6時間もこなすことで、一歩ずつ前進していった。9月中旬にはチームの本隊へ復帰。そして、11月4日の日本選手権2回戦・パナソニック戦で代打として公式戦復帰を果たすことができた。

 「まさか、公式戦に復帰できるようになるとは、思ってもみなかった。支えてくださった皆さんのおかげです。最後に優勝もできて、これまでとは違ううれしさがあった。自分があの瞬間、グラウンドに立っていることも想像できなかったので。目指してはいましたが、夢物語というか」

 入社後の2大大会での優勝はこれが4度目だった。過去3度はいずれもレギュラーとしてだったが、藤原航平監督の「ずっとリハビリしていた姿をみんなが見ていた」という言葉にこそ、今大会における貢献度の大きさが伝わってくる。

 「トヨタに採用していただけたからこそ、このような野球人生を過ごすことができた。社業で戦力になれていなかった分、これからは新入社員のつもりで何事にも前向きに頑張ります」

 中京大中京3年夏には全国制覇。日本文理の猛追にあった決勝戦、三塁手としてウイニングボールをつかんだ姿を記憶している野球ファンは多いだろう。あまたの栄光に笑い、あまたの試練を乗り越えた野球人生。培った経験と磨き上げた人間性で社業に貢献する日々が始まる。

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2022年11月19日のニュース