深夜の誓いからわずか47日での別れ…村田兆治さんのご冥福をお祈りします

[ 2022年11月11日 08:39 ]

今年9月、自宅近くで逮捕時の状況を説明する村田兆治さん
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 突然の悲報に朝から言葉を失った。11日午前3時10分ごろ、東京都世田谷区成城の元プロ野球選手、村田兆治さん(72)宅の2階で火事が発生、約40平方メートルが焼けた。警視庁などによると意識不明で病院に搬送された村田さんの死亡が確認された。

 村田さんは、9月23日午後、逮捕容疑は羽田空港第1ターミナル北ウイングの検査場で、30代の女性検査員の左肩を右手で押すなどした疑いで現行犯逮捕されていた。携帯電話を手にしており、金属探知機に何度か引っかかったことに腹を立てたとみられ、右手で左肩を押したという。

 同25日、東京空港署での釈放から数時間後、記者が帰宅した村田さんを直撃すると「じゃあ、そっちへ」と、夜10時過ぎの訪問にも関わらず、近くの公園で今回の経緯について話してくれた。90年に現役を引退しており、記者はギリギリ、現役時代を知らない世代。頑固一徹な性格から「昭和生まれの明治男」とも呼ばれており、かなりの緊張感を抱きながら現場へ向かったが、実際に会ってみると、印象はガラリと変わった。「(女性が)前にきたから“どいて”と。まさか、それが暴力になるとは…」と戸惑いつつも「触れたのは事実は事実。女性に誠心誠意謝りたい」と反省の弁を口にし、さらに新聞紙を切り抜くためにスーツケースに入れたままだったはさみも事を大きくしてしまったと丁寧に説明してくれた。話の合間、動画班の持っていたハンディカメラをフォークの握りでつかむパフォーマンスも披露。スタッフがカメラを揺さぶっても外れず、伝家の宝刀・フォークを投げ続けた指先もまだまだ健在だった。

 何度も口にしていたのは「女性への謝罪」とともに「子供たちへの裏切り」だった。村田さんは、全国離島交流中学生野球大会(通称・離島甲子園)を提唱。次世代を担う人材の育成を目的に全国の離島を巡って、大会の開催や野球教室などを精力的に行っていた。それだけに「子供たちに夢と希望を伝授しながら、行動は責任を持ってやっているつもりだった」と自責の念に駆られていた。

 今後について「もうすぐ73歳。75、76で(活動を)やめようと思っていたけど、人生に引退はない。子供たちのために80まで頑張る。老体にムチを打って骨が折れるかも分からないけど」と野球界への恩返しを続けることを誓っていた。過ちを犯した過去は変えられないが、未来は変えられる――。あの深夜の誓いからわずか47日。悲しい最期に、今はただご冥福をお祈りするしかない。(花里 雄太)

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