ヤクルト・村上 シーズン途中“異例バット変更”の狙い DeNA今永も脱帽「テニスラケットのよう…」

[ 2022年11月6日 19:10 ]

本塁打を放ち華麗な“バット投げ”を披露するヤクルト・村上
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 日本選手最多新記録となる56本塁打を放ち、史上最年少で3冠王に輝いたヤクルトの村上宗隆内野手(22)が、6日放送のテレビ東京「みんなのスポーツ特別編」(後4・55~)に出演。シーズン中に“異例”とも言えるバット変更を職人に依頼していたことを明かした。

 番組ではミズノでバット作りを手掛ける名和民夫さん(55)を紹介。かつてはイチローや松井秀喜など日本人メジャーリーガーも担当した、この道30年のプロフェッショナルが村上のバットを担当しているとした。

 名和さんは村上からバット変更依頼を受けてことについて「ちょうど5月の末ぐらいに“バットの形を変えたい”と言われました。一番大きく変えたのは先端部分で“先端をくりぬいて欲しい”という依頼でした」とコメントした。

 バットは本来、重心が外側の先端部分にあるほど遠心力で打球が飛びやすい。しかし、先端をくりぬくとバットの重心が持ち手へと移動する。コンパクトなスイングでボールに当たる確率は高まるが、飛距離は出にくい。ホームランバッターにとっては一見“マイナス”に思える変更だったが、名和さんは村上の考えについて「本人が言ってましたが“ヒットの延長線がホームラン”なんでヒットがいっぱい打てればホームランの確率も大きくなると」と説明。

 そこに村上の狙いがあった。ヤクルト入団以来、大先輩・青木から体の大切さを教わり、試合前には入念なストレッチを行ってきた。その後の圧倒的な練習量により手に入れた“体の土台”があるからこそ、失われる遠心力は技術でカバー出来るという自信からの決断だった。

 さすがの名和さんも「実績のある選手がシーズン途中でバットを変えるのは珍しいことですし、非常に勇気のいることだとは想像しましたね」と村上の要望に驚いた様子。村上自身は当時を振り返り「何かを変えないと、もうダメだなと思った。実際バットを変えてみて“これだ”っていう感覚がありました」と手応えがあったことを明かした。

 今季はバット変更前の5月までは打率.271の15本塁打と好成績を残していたが、この結果には満足できなかったもよう。そしてバット変更後の6月は打率.410の14本塁打と爆発的に打ちまくり、プロ野球史上初の5打席連続本塁打など数々の記録を樹立。シーズン最終戦では日本選手最多新記録となる56本塁打を放ち、史上最年少の3冠王に輝いた。

 今季の村上にはDeNAのエース・今永投手も脱帽。「今季はストレートをファウルにせず、甘ければヒットコースやオーバーフェンスする。テニスラケットで打撃をしているかのような、僕としては一番抑えにくい打者なので。(今年は)簡単に抑えられないなと思いました」とコメント。一流の職人により生み出された“村上専用バット”が絶大な効果を発揮した一年となったようだ。

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