明星大・谷井 “ライアン流”フォームから繰り出す最速159キロ剛球

[ 2022年10月7日 06:30 ]

明星大の谷井一郎
Photo By スポニチ

 【菊地選手ドラフト「隠し玉」発掘】一体どんな人生を送れば、この投球フォームにたどり着けるのだろうか…。そう深く考え込んでしまう、一度見たら絶対に忘れないフォームだ。

 明星大・谷井一郎は左足の爪先を頭頂部より高く蹴り上げ、左手にはめたグラブを天に掲げながら体重移動。ダイナミックなアクションの末に腕を振り、爆発的な剛球を投げつける。本人によると、「どうすれば球速が上がるかを考えて、ノーラン・ライアン(元レンジャーズほか)のように足を高く上げるようになりました」と高校3年春には原型が出来上がっていたという。

 現段階で最高球速はアマトップクラスの159キロ。ただし、実戦で計測した数値ではない。そもそも制球が荒れ過ぎるあまり、明星大でも戦力になっていないのだ。首都大学2部リーグですら実績を残せていない現状を、スカウトはどう評価するだろうか。

 とはいえ、谷井は遮二無二、力任せに投げているわけではなく「脱力して、リリースの瞬間だけ爆発させるイメージ」と語る。自身の技術について冷静に分析するクレバーさもある。プロで実戦経験を積む中で確固たる感覚をつかめたら、大化けする可能性もありそうだ。

 強靱(きょうじん)な肉体のルーツは、パラグアイ人の父にあるのかもしれない。両親は離婚しており、シングルマザーの母が姉、弟とともに谷井を養ってくれた。経済的な事情から高校は都立高(武蔵村山)に進み、大学も奨学金を受けながら寮生活ではなく実家から通っている。「母に家を建ててやりたい」と語る谷井の瞳には、強い力が宿っていた。

 大学野球界の暴れ馬が自分の意思通り走るすべを覚えたその時、野球界の歴史すら変わる予感がする。

 ◇谷井 一郎(たにい・いちろう)2001年(平13)2月5日生まれ、東京都出身の21歳。幼稚園年中から野球を始める。中学時代は福生シニアに所属。都武蔵村山では1年夏からベンチ入りし、甲子園出場はなし。明星大では3年春にリーグ戦デビュー。50メートル走6秒8。遠投125メートル。1メートル81、88キロ。右投げ左打ち。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

野球の2022年10月7日のニュース