岡田龍生監督が東洋大姫路でも「教員」であり続けることを選択した理由

[ 2022年4月23日 09:00 ]

東洋大姫路の岡田龍生新監督
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 高校野球で近年、増えてきているのが教員ではない監督だ。学生野球資格回復制度において、13年に教諭歴規定を撤廃されたことも背景にある。

 阪神、楽天、巨人に在籍し、昨夏の甲子園を制覇した智弁和歌山の中谷仁監督、近鉄、阪神のユニホームを着た天理(奈良)の中村良二監督はともに学校職員。元広島で矢上(島根)の山本翔監督は邑南町教育委員会生涯学習課に勤務する地方公務員だ。元プロ以外では、龍谷大平安(京都)の原田英彦監督、智弁学園(奈良)の小坂将商監督らも学校職員として指揮を執っている。まさに時代の流れと言っていい。

 一方で、履正社(大阪)で19年夏の甲子園を制し、1日から母校・東洋大姫路(兵庫)の監督に就任した保健体育科教諭の岡田龍生監督は、自身の希望で1週間に6コマ、授業を持つことにしたという。その理由はこうだ。

 「グラウンドに出ていれば、グラウンドでの様子はわかる。しかし、グラウンドで見せない表情を授業で見せることも、これまでの監督人生でたくさん経験してきた。他の先生から伝え聞いたのでは、わからないこともある。全て野球につながってくるので、そういうところを大事にしていきたい」

 どちらが正しくて、どちらが間違っているということではない。双方にメリット、デメリットはあるが、経験に裏打ちされた言葉には説得力がある。その考えに触れて、近年、躍進目覚ましい京都国際のことが頭に浮かんだ。小牧憲継監督は社会科教諭。取材の中で、部員の授業中の素顔に話題が及ぶこともしばしばある。今春選抜を圧倒的な力で制した大阪桐蔭の西谷浩一監督も社会科教諭だ。「教員ならでは」を身上とする岡田監督の指導は、母校でも実を結ぶのか。きょう23日に三田学園と予定されていた公式戦初戦は不戦勝で3回戦進出。29日に初陣を迎える。(記者コラム・北野 将市)

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2022年4月23日のニュース