槙原寛己氏 ロッテ・朗希の完全途中交代劇に「千載“二”遇。頂を見せてあげたかった」

[ 2022年4月19日 05:30 ]

槙原寛己氏
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 旬の話題に鋭く斬り込む企画「マイ・オピニオン」。今回は17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で2試合連続の完全試合達成が目前だったロッテ・佐々木朗希投手(20)を8回で降板させた井口資仁監督(47)の采配や発言について。スポニチ本紙評論家で完全試合の経験がある槙原寛己氏(58)が持論を語った。

 佐々木朗の交代劇は時期が4月だったというのも大きな要素だったと思う。これが6、7月ならローテーションで回って球数も増え、リスクも減っていた。この時期はどんなベテラン投手でもあまり無理はさせられない。

 投球は7回くらいから逆球が増えて疲れも見てとれた。おそらく大人が止めてあげないといけない状況だったのだろう。本人に聞けば「行く」と言う。7回くらいから首脳陣の間では「どうする?」と話していたはずで、もし点が入っていれば違う結果になっていたかもしれないが、我慢させたということだと思う。

 ただ、僕が首脳陣の立場だったら自分が完全試合を一度経験しているので続投させてあげたかった(※)。千載一遇というか、彼は千載“二”遇なんですけど、やった者にしか分からないうれしさがあるので。それに、もし2試合連続の完全試合を達成していたら100年以上は破られない記録。そんな選手はもう出てこないでしょう。そういう頂を見せてあげたかったという思いもありますね。

 もし彼がベテランだったら首脳陣に対して“代えるな”とオーラというか雰囲気を出せたと思う。続投したことによる故障など、何かあった場合の責任は“自分で取るから”と。でも今は首脳陣が判断を託されており、あの場面でリスクを負った判断は相当難しい。加えて去年も登板間隔を空けて投げさせ、成長の段階を踏んでいるところだから。そうしたロッテの育成方針は評価していいと思う。

 前回の完全試合(10日)の翌日、本人にリモート取材した。周囲は次回も期待して球場がアウト1つ取るたびに沸き、自分でも「打たれない」という感覚で投げると思うけど、どこかでヒットを打たれて「だよな」と思うときが来る。そう話すと本人も「そうですよね」と語っていた。ところが、その「だよな」が今回もなかった。

 20歳の頃、僕はいくら投げても疲れを感じないような時期があった。でも、そこには危うさもある。それも含めて今回は止めてあげたということ。この4月は100球前後を貫くのでしょう。

 ※巨人の球団通算7000試合目でもあった94年5月18日の広島戦(福岡ドーム)で9回を102球で史上15人目の完全試合を達成。巨人では44年ぶり2人目の快挙達成に「夢の中にいるみたい」と声を震わせた。

 ▽佐々木朗の2試合連続完全投球 10日のオリックス戦で105球で完全試合を達成。世界新の13者連続三振、プロ野球タイ記録の1試合19奪三振など記録ずくめだった。中6日で臨んだ17日の日本ハム戦も8回まで完全投球だったが、100球を超え(102球)、0―0の9回表のマウンドには上がらず。試合後、井口監督は「あそこで限界だった。(8回裏に)点を取っても8回で代わっていた」と説明した。なお、3日の西武戦の8回2死から打者52人連続アウト、10日からの17回パーフェクトは継続中。

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