長崎日大 29年ぶり春勝利ならずも敗れて悔いなし 平山監督「試合をさせていただいてありがたかった」

[ 2022年3月21日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第2日第2試合・1回戦   長崎日大2ー6近江 ( 2022年3月20日    甲子園 )

<長崎日大・近江>近江に敗れ引き揚げる長崎日大ナイン(撮影・井垣 忠夫)
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 1回戦3試合が行われた。新型コロナウイルス集団感染のために出場辞退した京都国際に代わり、開幕前日に繰り上げ出場が決まった近江(滋賀)と対戦した長崎日大は今大会初の延長13回タイブレークの末に敗れた。エースの種村隼(3年)が好投し9回2死までリードを保ったが、あと一人で同点とされ、1993年以来のセンバツ勝利はならなかった。

 ピンクで彩られた長崎日大の一塁側スタンドだけでなく、球場全体からも激闘に惜しみない拍手が注がれた。延長13回タイブレークの末に敗れ、93年以来のセンバツ勝利にあと一歩届かなかった。先発して8回2失点の力投が光った種村は「9回まで投げきれなかったのが反省点」と唇をかんだ。

 新型コロナウイルスの集団感染で対戦相手だった京都国際が辞退。3日前に近江に変更になった。プロ注目右腕の山田陽翔(3年)との投げ合いに種村は「光栄だと思った」と燃えた。「相手が変わったとしても自分のピッチングスタイルは変えない」と持ち味の打たせて取る投球で翻弄(ほんろう)。「どのバッターにもインコースを投げられたのが良かった。8回までは自分でもいいピッチングだった」と胸を張る内容だった。

 暗転したのは初完封目前の9回だ。先頭に二塁打を浴びると、続く山田には死球。岡崎に右前適時打を浴びたところで降板。「抑えれば勝ちという中で、違う気持ちが出てしまった」。2番手の川副良太(3年)が延長13回に2度の暴投などで4失点。九州大会から継投で勝ち上がってきたチームは最後に力尽きた。

 2月に部内で新型コロナウイルスの陽性者が出たため10日間ほど全体練習ができなかった。自宅生で影響を受けなかった種村は中学校のグラウンドで体を動かした。友人がキャッチボールの相手を買って出てくれた。「協力してくれてありがたかったです」。感謝の思いを甲子園で表現した。

 対戦相手が変更になる難しいゲームだったが、平山監督は「近江さんと試合をさせていただいてありがたかった」と話した。29年ぶりの春1勝はならなかったが、伝統校のプライドは十分に見せつけた。種村は「夏にまた帰ってきたい」と誓った。(杉浦 友樹)

 ≪「絶対打たないと」河村が山田撃ち≫主将で4番の河村恵太(3年)がプロ注目右腕の山田撃ちだ。6回2死二塁で浮いた変化球を捉え左越えの先制適時二塁打。「ここは絶対打たないといけないと思った」と話した。あと一歩で勝利を逃し、夏に向け「あと1アウト。もう少しの粘り強さと勝負強さを全員でつくっていきたいです」と語った。

 ≪センバツ史上2度目のタイブレーク≫大会2日目の近江―長崎日大は延長12回までに決着が付かず、選抜史上2度目のタイブレークに突入した。タイブレークは選手の健康管理や大会日程の円滑な消化などの観点から早期決着を促すべく、13回から無死一、二塁の状況で始める。決着がつくまで続行されるが、1投手が登板できるのは15イニングまで。18年の選抜から導入され、春夏の甲子園大会では通算5度目の適用。

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2022年3月21日のニュース