日本ハム主力3人放出 MLBでは移籍活性化手段「ノンテンダーFA」のメリットとデメリット

[ 2021年11月17日 05:30 ]

日本ハムの(左から)西川遥輝選手、秋吉亮選手、大田泰示選手
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 大リーグでは毎年12月初旬に球団から契約の意思を示されなかった選手が「ノンテンダーFA」として市場に出される。対象となるのはメジャー40人枠での出場登録が6年未満の選手。3年目オフに年俸調停権を得ると、4年目以降は基本、年俸が上がっていくため、それに見合わないと球団が判断した場合にこの措置が取られる。

 FA有資格者が自由契約となった日本ハムのケースとはやや異なるが、球団側の思惑としては同じだろう。目的は2つある。一つはチーム総年俸の削減。もう一つはチームの「中間層」を放出することで、若手にチャンスを与えること。これまではレギュラークラスはよほど成績を落とさない限り、「戦力外」になることはなく、ある程度、地位も守られていた。しかし、西川のような実績ある選手でも今後、自由契約になる可能性があるとなれば、チーム内の競争力は上がる。

 大リーグではFA権(6年)取得前の20代の選手が市場に出るために、移籍が活性化している。昨オフも59選手が「ノンテンダーFA」に。かつてツインズから放出されたデービッド・オルティスがレッドソックスでスーパースターになったのがいい例。日本ハムの3選手はFA移籍となると、人的などの補償を伴うが、自由契約なら獲得する側にとっても障壁は低くなる。

 ただ、デメリットもある。大リーグでは、オーナー側が年俸の安い若手を使いたいので、中間層が「ノンテンダーFA」で切られることが多く、選手会が問題視している。MLBは30球団あるが、NPBは12球団と受け皿が狭く、支配下登録(70人)も限られている。今回の日本ハムの方針は日本球界に新たな移籍の流れを生み出すことにはなるが、大リーグのように定着するかは疑問だ。(編集局次長・甘利 陽一)

 ▽ノンテンダー(Non―Tender) テンダーは提出、申請の意味。大リーグでは40人枠で出場登録が合計6年未満の選手に対して来季契約の意思表示をする期限が毎年12月に設定されており、ここで保有権を放棄された選手はFAとなる。成績に比べて年俸が割高である選手に対して球団がノンテンダーとするケースが多い。

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2021年11月17日のニュース