西武・本田、5回零封 東北学院に特別な77球 甲子園辞退の後輩たちよ胸を張れ

[ 2021年8月20日 05:30 ]

パ・リーグ   西武3-3ロッテ ( 2021年8月19日    ZOZOマリン )

<ロ・西>西武先発・本田(撮影・吉田 剛)
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 無念の後輩たちにささげた。西武・本田圭佑投手(28)が19日、ロッテ戦に先発し5回5安打無失点と好投した。新型コロナウイルス感染で夏の甲子園2回戦以降を辞退した、東北学院(宮城)出身の唯一のプロ野球選手。救援陣が追い付かれて今季初勝利を逃したが、思いを込めた77球だった。

 白星は贈れなかったが、エールは届いたはずだ。東北学院出身の本田が77球に思いを込めた。

 「これは決して誰も悪くないですし、ここまで来た後輩たちが本当に誇らしい。胸を張ってほしい。OBたちも皆、喜んでいます」

 母校は今夏、春夏通じて甲子園初出場。11日の1回戦で強豪・愛工大名電(愛知)に勝利もその後、新型コロナウイルス陽性が1人、4人の濃厚接触者が出た。出場可能な「個別感染」と判断されたが、感染者特定を避けるため17日に辞退を申し出た。

 「後輩たちにいいところを見せられればと思って、マウンドに上がりました。何とか自分がいい結果で、いい報告ができれば」。制球に苦しんだが、味方が好守で救ってくれた。いい打球が野手の正面を突く幸運もあった。この日はいつもと違う。心に秘めた思いの分だけ、ボールにも力が宿った。5回5安打無失点。勝利投手の権利を得てマウンドを降りたが救援陣が同点とされ、今季初勝利には届かなかった。

 高2の夏。宮城大会4回戦で仙台商を相手に延長15回、215球を投げ抜き、熱中症とみられる症状で、登板後に緊急搬送された。3年夏は宮城大会準々決勝で敗退。OBたちが後輩に託した思いも、ようやくたどり着いた聖地で負った後輩の無念も、手に取るように分かる。

 今大会前、後輩たちにTシャツを差し入れた。「ぜひこのメンバー全員が、この先も一生の仲間でいてほしい」。未来ある後輩たちを思いやった。(川手 達矢)

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2021年8月20日のニュース