阪神・佐藤輝 田淵超え球団新人最多23号 わずか90試合で到達「もっと打ちたい」

[ 2021年8月20日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-5DeNA ( 2021年8月19日    東京D )

<D・神>9回無死、23号本塁打を放ち笑顔の佐藤輝(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 阪神の佐藤輝明内野手(22)が、19日のDeNA戦で23号ソロを放ち、並んでいた69年田淵幸一氏(スポニチ本紙評論家)を抜き、球団新人最多本塁打記録を更新した。2点劣勢の9回先頭で三嶋の156キロ直球を左翼スタンド最前列に運んだ。チームの勝利にこそ結びつかなかったが、わずか90試合で球団史を塗り替えることに成功。名実ともに球団新人史上最強アーチストの称号を手に入れた。

 
 2日前に偉大な記録に並んだばかりのスラッガーが、勢いそのままに球団新人未踏の地に到達した。シーズン90試合目。佐藤輝が名実ともに、虎新人史上最高アーチストの称号を手に入れた。

 「記録を超えることができたというのは、しっかり自分のスイングをしてきた結果なので。すごいうれしいです」

 2点劣勢の9回先頭。マウンドにはDeNAの守護神・三嶋がいた。2球で追い込まれても、跳ね返す能力がある。1ボール2ストライクからの4球目。低めの156キロ直球を豪快に振り抜いた。差し込まれたように思われた打球は、大きな放物線を描いて左翼席最前列に着弾。「追い込まれてからだったので、いろいろ頭に入れながらでしたけど。いいホームランだったと思います」。土壇場での一発で、最後まで残った東京ドームの虎党を大いに沸かせた。

 球宴での貴重な経験を、またも結果に結び付けた。「他のバッターと違う」と対面を楽しみにしていたソフトバンク・柳田と、2戦目の試合前練習で打撃について談議。逆方向への意識を再確認するきっかけの場となった。「元々意識はしていたので、やっぱり一流の選手でもそういうのを意識してやっているんだなというのを確認できたのでよかった」。逆方向への一撃は、本家をほうふつさせる。東京五輪による中断期間で打撃に磨きをかけ、3連戦で3本塁打を刻んだ。

 右翼守備でもみせた。8回1死満塁で、宮崎のライナーをジャンプして捕球すると、ほぼノーステップから本塁へワンバウンドでストライク送球。圧巻の身体能力でタッチアップした俊足の三塁走者・桑原を刺し、7月7日ヤクルト戦以来、外野手として今季3度目の直接補殺を記録した。「ちょっと(前に)いきすぎたんですけど、その後落ち着いていいボールを投げられたかなと思います」。自らの好守でリズムをつかみ、直後の打席での記録更新につなげた。

 「まだこれからもっと積み重ねて、もっとホームランを打ちたいと思っています」

 シーズンは残り53試合。現状36本塁打ペースで、31本のプロ野球新人最多記録更新の期待もかかる。右肩上がりで成長を続けていく背番号8。まだまだ超えるべき記録が残されている。(阪井 日向)

 《清原上回るペース》佐藤輝(神)が9回に23号ソロ。新人では58年の森徹(中)に並ぶ歴代7位。69年田淵幸一の22本を抜いて阪神の新人単独トップに立った。チーム90試合目で、シーズン143試合では36本ペースとなり、59年桑田武(大洋)と86年清原和博(西)の新人記録31本を上回る。東京ドームでは3本目。球場別では甲子園の8本に次いで、神宮、メットライフドームに並ぶ敵地最多だが、すべてDeNA戦でのもの。本来本拠地とする巨人戦では6試合で0本の珍現象だ。

続きを表示

2021年8月20日のニュース