楽天・黒川 高卒2年目で待望の初アーチ ロッテ・朗希世代の「野手代表」に名乗り

[ 2021年6月5日 05:30 ]

交流戦   楽天12ー5広島 ( 2021年6月4日    マツダ )

<広・楽>初回2死一、二塁、黒川は右越えにプロ初本塁打となる3点本塁打を放つ(撮影・奥 調)
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 高卒2年目は野手も凄い。楽天の黒川史陽内野手(20)が4日、広島戦の初回にプロ1号となる右越え3ランを放った。待望の初アーチで勢いに乗り、プロ初の猛打賞もマーク。チームの3連勝、今季最多の貯金7でのパ・リーグ首位キープに貢献した。ロッテ・佐々木朗希投手(19)ら同学年は投手も粒ぞろい。野手の世代の代表へと名乗りを上げた。

 インハイのスライダーを瞬時の反応とバットコントロールで黒川が捉えた。初回、待望のプロ初アーチは、右越え3ラン。5回に右前打、8回に左前打でプロ初の猛打賞も決めて3連勝に貢献した。

 「感触はとても良かった。素直にうれしいし、ここまで育ててくれた両親に感謝です」

 智弁和歌山では5季連続甲子園出場。高卒2年目の投手はオリックス・宮城に続き、ロッテ・佐々木朗、ヤクルト・奥川らがプロ初勝利を飾った。野手では前日に4号のオリックス・紅林が先んじたが「真打ち」登場。「同世代の選手に負けたくない気持ちもある。でもそれ以上にチーム内の競争が凄く激しい。浅村さん、鈴木大地さん、凄い先輩がいる。先輩方に負けたくないという気持ちが一番強い」と話した。

 ポスト浅村の期待を懸けて、19年ドラフト会議で2位指名を決めたのが石井GM兼監督。技術面はもちろん、映像を通して伝わる野球に臨む姿勢に、未来の野手陣のリーダーの姿を見た。「一生懸命で負けん気も強い。打ち取られて、悔しさを感じる打席も多い」と指揮官。5月19日に一度登録抹消したのは「使うならスタートでいってもらう選手」との考えから。2軍で打席数を積ませ、同30日に再登録。選手としてのスケールの大きさに期待するからこそだ。

 黒川もその2軍生活を無駄にしなかった。「自分は若いのに失敗を恐れてプレーしていた。三木監督たちからは、気負わず暴れろと。そこが一番変わりました」。三木2軍監督は上宮時代、父・洋行さんの2学年後輩でもある。強い挑戦心が胸に宿った。

 「日々成長の中にある。水をあげても、コーヒーあげても育ってくれる状況。とにかく自分のことを精いっぱいやってほしい」と石井監督。手元に届いた記念球は、観戦した父に手渡す。「1カ月後ぐらいが誕生日で、いいプレゼントになるかな」。怖いもの知らずに戻った20歳が、首位チームの定位置奪取を目指し全力で挑み続ける。(後藤 茂樹)

 《観戦の父も“感激”》黒川の父・洋行さん(45)は三塁側内野席で観戦。初本塁打に「とてもうれしいですね」と話した。自身は上宮の主将として93年センバツで優勝。今後については「楽天のメンバーの中で、しっかりレギュラーをつかんでほしいです」と話した。

 ◆黒川 史陽(くろかわ・ふみや)2001年(平13)4月17日生まれ、奈良県北葛城郡出身の20歳。河合小1年で野球を始め、河合一中3年時に「NOMOジャパン」主将。智弁和歌山では1年春からベンチ入りし、同年夏から5季連続甲子園出場。2年春に準V。高校通算34本塁打。19年ドラフト2位で楽天入団。昨季9月4日のオリックス戦で1軍初出場し10試合で2安打2打点、打率.143。1メートル82、86キロ。右投げ左打ち。好きな食べ物は松前漬け。

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